第95話 操られたシャイラ

文字数 3,305文字

 ジェイコブは抵抗出来なくなった彼女をゆっくりと地面に寝させたのである。


「これでやっと従者にする準備が出来ました……」


 そう言ってシャイラに覆い被さっていくと今度は彼女の目を見ながら口で彼女の唇を塞いだのであった。


「んっ……ん~~!!」


 シャイラは何とか逃れようと暴れたが、やはり体は動かなかったのだった……。彼の舌は口内に侵入してきて彼女の舌と絡め合わせたのである。

 そして、暫くの間、お互いの舌が絡み合う音が周りに響き渡ったのだ……。そして、満足したのかやっと彼は離れたのだった。

 そんなジェイコブは笑みを浮かべながら言ったのである。


「これで貴女は僕の操り人形になりました……」


 その言葉にシャイラは驚きの表情で彼を見た。そして、彼は続けて言ったのだった。


「貴女は今から僕の忠実な従者です……」


 それを聞いてシャイラは愕然とした表情を浮かべていた。しかし、体は言う事を聞かず抵抗が出来ない状態であったのだ……。

 そんなシャイラに彼は笑みを浮かべて言ったのである。


「さあ、僕と一緒に行きましょうか」


 そう言ってジェイコブはシャイラの手を掴み立たせるとそのまま引っ張っていったのだ。

 そして、彼女は彼に引っ張られるままついて行ったのだが、その途中で急に立ち止まり振り返り言ったのである。


「さあ、今から貴女に命令をします……」


 その言葉にシャイラは慌てて抵抗しようとしたのだがやはり体は言う事を聞かなかったのだ。そして、そんな彼女を見てジェイコブは言ったのである。


「無駄ですよ……」


 そんな彼にシャイラは恐怖を感じ始めていた。だが、それでも何とか抵抗しようと試みたのだが、それでも体は動かなかったのであった。


「では今から黒髪の魔女を攻撃して下さい……」


 彼はシャイラに命令すると、シャイラは戸惑いながらも必死に抵抗しようと試みたがやはり無理だったのだ……。

 彼は彼女に笑みを浮かべて言ったのである。


「僕の命令は絶対です……」


 その言葉にシャイラは何も言えなくなってしまったのであった。そんな彼女を見てジェイコブは言ったのである。


「さあ、早く攻撃を……」


 その言葉に彼女は目が虚ろになっていき彼の命令通り、ランシーヌを攻撃しょうと動き始めたのだ。


「はい……」


 シャイラは荒れ果てた墓地の中央で2人の魔女が睨み合っている所に歩いて行ったのである。



 ランシーヌはカサンドラと墓地の中央で対峙しお互い睨み合っていたのである……。


「どうする? 私達も戦う?」


 彼女はカサンドラを挑発していたのであった。そんな挑発にカサンドラは笑みを浮かべて言ったのである。


「いや、まだ戦う必要は無いわ……。お互い不死身だから今、戦っても無駄よ……」


 そう言って彼女はランシーヌを見つめ続けていたのだった……。


「まあ、そうね……」


 そんなカサンドラにランシーヌは不敵な笑みを浮かべていたのである。そして、彼女はシャイラが近付いてくるのに気付いたのであった。


「あら? シャイラ?」


 そう言って彼女はシャイラが虚ろな瞳で近付いて来るのに気付いたのである。そんな彼女を見てランシーヌは警戒して言ったのだ。


「ちょっと! 何をする気!?」


 しかし、シャイラは何も言わず虚ろな瞳で歩いてくるだけだった。後、5歩までの距離に近付くと口から牙を覗かして襲い掛かったのである。


「ちょっと!」


 彼女はランシーヌの右腕に噛み付いたのだ。そして、彼女の腕からは血が流れ落ちていたのだ……。


「ぐっ……!」


 腕の痛みに耐えながら彼女はシャイラの動きを止める魔法の呪文を唱えたのだ……。


「我に敵意を持つ者の身体の自由を奪え! 拘束せよ!」


 ランシーヌが呪文を唱えると忽ちシャイラは動けなくなり地面に倒れ伏したのだった。

 そんな状況から彼女はカサンドラを睨み付けたのだった。その後、彼女は不敵な笑みを浮かべて言ったのである。


「私の仲間を洗脳して襲わせたのね……卑怯ね……。でも、大丈夫よ……姑息な手を使うしか手段がないほど弱いのね……」


 そう言うとカサンドラは自尊心を傷つけられ怒りを露わにしてランシーヌに言ったのである。


「おのれ……!!」


 そんなカサンドラに彼女は余裕の笑みを浮かべて言ったのだった。


「あら? 図星だったのかしら……?」


 その言葉にカサンドラは怒りが頂点に達し、彼女に呪文を唱えたのだ。


「あらゆる物を焼き尽くせ紅蓮の業火よ! 燃え尽きろ!」


 そして、彼女はランシーヌに向かって呪文を唱えたのである……。だが、その呪文は彼女に命中はしたが効果が無くなったのだ。


「なっ!?」


 カサンドラは驚きの声を上げていた。そんな彼女をランシーヌは余裕の表情で落ち着きながら言ったのである。


「分かってる? 私達に攻撃魔法は効かないって……」


 そんな彼女の態度にムッとしたカサンドラは攻撃魔法は諦めて接近戦に切り替える事にしたのだ。


「なら、直接攻撃するまでよ! 我の元に出でよ聖なる銀の剣よ!」


 そう言って彼女は魔法で剣を召喚するとランシーヌに斬りかかったのであった。しかし、ランシーヌは回避すると後ろに飛び退いたのである。

 そんなカサンドラに向かってランシーヌは呪文を唱えたのだ……。


「魔の力を有する魔弓よ! 我の元に召喚せよ!」


 すると、彼女の手には赤く光る魔法の弓矢が現れた。そして、その矢をカサンドラに向かって放ったのである。

 しかし、彼女も銀の剣でランシーヌの矢を弾き返したのだ。だが、ランシーヌは笑みを浮かべているだけで焦った様子は無かったのである……。


「今の攻撃が防げるのは分かってたわ……」


 そんな余裕な態度を見せる彼女にカサンドラは苛立ちを感じ始めていたのである。


「お返しするわ!」


 ランシーヌはそう言い放つと弓を構え魔法の矢を放つ動作をしていたのだ。

 そして、その矢を放つと3本に別れてカサンドラに向かって行ったのである。


「なに!?」


 カサンドラは剣を咄嗟に構えて3本の矢を迎え撃ったのだ。1本目は剣で弾く事に成功したが2本目の矢は彼女の左肩を掠めて行ったのであった。

 そして、最後の3本目は躱したがカサンドラの右頬を掠めたのだ……。


「ぐっ……!」


 彼女は痛みで頬を押さえていたのだった。そんなカサンドラにランシーヌは笑みを浮かべて言ったのである。


「今のは挨拶代わりよ……。次は貴女が攻撃してきなさい……」


 そう言って余裕の表情を見せていたのだ……。そんな彼女をカサンドラは睨み付けて怒りで体を震わせていたのである。


「許さない……!」


 そう答えると彼女は剣を再び構えた。そして、ランシーヌに向かって走り出したのである……。

 カサンドラは彼女に剣の距離まで近付くと左肩目掛けて斬りかかったのである。だが、ランシーヌはギリギリでその攻撃を躱したのだ……。

 そして、カサンドラは今度は右脇腹を狙って剣を振り抜いたのである。だが、ランシーヌはその攻撃を横へ飛び退き躱すとカサンドラも飛び退いた先に突きを放っていた……。


「死ね!!」


 そう言って彼女は突きを放ったのである。だが、ランシーヌはその突きを弓で受け流したのだった……。そして、流されるとカサンドラは剣を返し横に振り抜いたのだ……。


「くっ……!」


 ランシーヌは振り抜いた剣が左わき腹を掠めて行ったのだ。その傷から彼女の服が血で滲んでいたのだ……。


「これでも楽勝だと思っているの……?」


 そんなカサンドラにランシーヌは笑みを浮かべて言ったのである。


「ふふん! もしかして私に傷を付けたから勝ったつもり?」


 そんなランシーヌにカサンドラは怒りを募らせていた。


「次こそは貴様の首を刎ねてやる!」


 そう言って再び剣を構えたのである。そんなカサンドラをランシーヌは不敵な笑みを浮かべて見つめていたのだ……。


「ふふん! 威勢がいいわね……」


 余裕を見せる彼女にカサンドラは怒りを抑えきれずに再び剣を振り下ろしたのだが、その攻撃は直前で躱されてしまったのだ……。


「そんな攻撃じゃ当たらなくてよ?」


 ランシーヌはカサンドラに挑発するように言ったのである。そして、2人の魔女はお互い武器での攻防を繰り広げていたのだった……。
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