第20話 アレシアとの再会
文字数 1,818文字
「久しぶり、ラドリック! 私は、クレムの妹のアレシアと申します」
アレシアは俺に抱き着いて来て女性陣に挨拶をしてきた。
彼女の髪は栗色で肩まであった。顔は整っていて美人で年の頃は20代前半だろう。
「久しぶりだな……。俺が10代後半で傭兵に入って以来か……。その時は、まだ子供だったな」
彼女とクレムは兄妹で俺にとっても幼馴染であった。しかし、傭兵になった以降はクレムから聞く情報だけで会ったことはなかったのである。
時々、クレムから妹が病気に伏しがちだと聞いたことはある。
その為、心配していたが元気なようで安心した。
「えぇ、そうね。兄から、この町にラドリックが来ていると知った時は驚いたわよ」
「ハハッ……そうか?」
「それで、そちらの方々はどなたかしら?」
「あぁ、こちらはランシーヌとミラとニアだよ」
「そう……。皆さんよろしくお願いいたします」
ミラとニアは軽く会釈をした。
「貴女方は、ラドリックとはどのような関係なんですか?」
「私達は、仲間ですよ」
ランシーヌが答えると、ミラとニアも同意するように首を縦に振った。
「あら、そうなんですか? ラドリックも隅に置けないわね」
「おいおい、変なこと言わないでくれよ。それより、病気の体調は大丈夫なのか?」
「えっ!? 私の事を心配してくれるの!?」
「そりゃあ、当たり前だろう。昔は、よく遊んだ仲じゃないか」
「フッ……。ありがとう! でも、今はもうすっかり良くなってるわ……」
話すアレシアの表情に少し陰りがあったのを俺は見逃さなかった。
「そうなのか? それは良かった」
彼女の表情を見て俺は少し胸騒ぎがしたのであった。
「お待たせしました。夕食が出来上がりましたので、食堂にお越しください」
先ほどの使用人が呼びに来てくれたのだ。
「分かった。すぐ行くよ」
「では、こちらになります」
俺達はそのまま案内されて、食事をする為に大広間に移動した。
そこには、すでにクレムが座っていた。
「招待してくれてありがとな。それにしても、立派な屋敷だな」
「あぁ、ここの領主から貰った屋敷だからな。自慢出来るぜ!」
「そういえば、さっき言っていた領主はどんな方なんだ?」
「……一言で言うなら、変わった人だな……」
「そうなのか……」
「それよりも、料理が来たぞ! 冷めないうちに食べよう」
クレムは領主の話題から逸らすように言った。
「そうだな」
こうして、久しぶりに再会したクレム達と楽しく会話をしながら食事を楽しんだ。
そして、食後はクレムが俺に1人で部屋に来て欲しいと頼んできたので、ランシーヌ達は先に部屋に戻ったのである。
しばらくして、俺が部屋に入るとクレムは真剣な表情をして俺を見つめてきた。
そして、俺達はお互いに向かい合って椅子に座り、話を始めたのである。
「まさか、お前と再会するなんて思わなかったよ」
「俺もだよ。ところで、領主の元で働いていると聞いたけど、どうやって気に入られたのか?」
「あぁ、実は俺の剣の腕を買って貰ってね。それから、この町の治安を任されていたんだよ」
「そうなんだ。凄いじゃないか! お前の話では領主は良い人物みたいだし、ここで一生働くのもいいんじゃないか?」
「まぁ、悪くはないんだけどな……」
そう言うと、クレムは言葉を濁らせたのである。
俺は不思議に思い、彼に質問した。
「どうしたんだよ?」
「実は、俺は領主が少し苦手でな……」
「そうなのか?」
「あぁ、何考えているか分からないというか……」
「へ~。そうなんだ」
「それより、お前はどうしてこの町に来たんだよ?」
「あぁ、ちょっと訳があってな……。詳しくは言えないんだが、ある人を探しているんだよ」
「人探しをしているのか……。それなら、力になれなくてすまないな」
「いや、気にしないでいいよ。それより、アレシアの体調は大丈夫なのか?」
「あぁ、妹なら元気になっているよ」
「そうか、それを聞いて安心したよ」
「アレシアの事は心配しなくてもいいさ……。それよりも、早く自分の目的を果たしてくれよ」
「分かってるよ。それじゃあ、そろそろ戻るとするよ」
「あ……。いや、おやすみ……」
彼は何か言いたげな様子だったが、何も言わなかったのである。
俺もこれ以上は聞かなかった。
その後、俺は部屋に戻ってベッドに入り眠ろうとしたところ、部屋の扉を叩く音が聞こえたのである。
コンッ……コンッ……。
(こんな時間に誰だ?)
扉を開けると、そこにはアレシアの姿があった。
アレシアは俺に抱き着いて来て女性陣に挨拶をしてきた。
彼女の髪は栗色で肩まであった。顔は整っていて美人で年の頃は20代前半だろう。
「久しぶりだな……。俺が10代後半で傭兵に入って以来か……。その時は、まだ子供だったな」
彼女とクレムは兄妹で俺にとっても幼馴染であった。しかし、傭兵になった以降はクレムから聞く情報だけで会ったことはなかったのである。
時々、クレムから妹が病気に伏しがちだと聞いたことはある。
その為、心配していたが元気なようで安心した。
「えぇ、そうね。兄から、この町にラドリックが来ていると知った時は驚いたわよ」
「ハハッ……そうか?」
「それで、そちらの方々はどなたかしら?」
「あぁ、こちらはランシーヌとミラとニアだよ」
「そう……。皆さんよろしくお願いいたします」
ミラとニアは軽く会釈をした。
「貴女方は、ラドリックとはどのような関係なんですか?」
「私達は、仲間ですよ」
ランシーヌが答えると、ミラとニアも同意するように首を縦に振った。
「あら、そうなんですか? ラドリックも隅に置けないわね」
「おいおい、変なこと言わないでくれよ。それより、病気の体調は大丈夫なのか?」
「えっ!? 私の事を心配してくれるの!?」
「そりゃあ、当たり前だろう。昔は、よく遊んだ仲じゃないか」
「フッ……。ありがとう! でも、今はもうすっかり良くなってるわ……」
話すアレシアの表情に少し陰りがあったのを俺は見逃さなかった。
「そうなのか? それは良かった」
彼女の表情を見て俺は少し胸騒ぎがしたのであった。
「お待たせしました。夕食が出来上がりましたので、食堂にお越しください」
先ほどの使用人が呼びに来てくれたのだ。
「分かった。すぐ行くよ」
「では、こちらになります」
俺達はそのまま案内されて、食事をする為に大広間に移動した。
そこには、すでにクレムが座っていた。
「招待してくれてありがとな。それにしても、立派な屋敷だな」
「あぁ、ここの領主から貰った屋敷だからな。自慢出来るぜ!」
「そういえば、さっき言っていた領主はどんな方なんだ?」
「……一言で言うなら、変わった人だな……」
「そうなのか……」
「それよりも、料理が来たぞ! 冷めないうちに食べよう」
クレムは領主の話題から逸らすように言った。
「そうだな」
こうして、久しぶりに再会したクレム達と楽しく会話をしながら食事を楽しんだ。
そして、食後はクレムが俺に1人で部屋に来て欲しいと頼んできたので、ランシーヌ達は先に部屋に戻ったのである。
しばらくして、俺が部屋に入るとクレムは真剣な表情をして俺を見つめてきた。
そして、俺達はお互いに向かい合って椅子に座り、話を始めたのである。
「まさか、お前と再会するなんて思わなかったよ」
「俺もだよ。ところで、領主の元で働いていると聞いたけど、どうやって気に入られたのか?」
「あぁ、実は俺の剣の腕を買って貰ってね。それから、この町の治安を任されていたんだよ」
「そうなんだ。凄いじゃないか! お前の話では領主は良い人物みたいだし、ここで一生働くのもいいんじゃないか?」
「まぁ、悪くはないんだけどな……」
そう言うと、クレムは言葉を濁らせたのである。
俺は不思議に思い、彼に質問した。
「どうしたんだよ?」
「実は、俺は領主が少し苦手でな……」
「そうなのか?」
「あぁ、何考えているか分からないというか……」
「へ~。そうなんだ」
「それより、お前はどうしてこの町に来たんだよ?」
「あぁ、ちょっと訳があってな……。詳しくは言えないんだが、ある人を探しているんだよ」
「人探しをしているのか……。それなら、力になれなくてすまないな」
「いや、気にしないでいいよ。それより、アレシアの体調は大丈夫なのか?」
「あぁ、妹なら元気になっているよ」
「そうか、それを聞いて安心したよ」
「アレシアの事は心配しなくてもいいさ……。それよりも、早く自分の目的を果たしてくれよ」
「分かってるよ。それじゃあ、そろそろ戻るとするよ」
「あ……。いや、おやすみ……」
彼は何か言いたげな様子だったが、何も言わなかったのである。
俺もこれ以上は聞かなかった。
その後、俺は部屋に戻ってベッドに入り眠ろうとしたところ、部屋の扉を叩く音が聞こえたのである。
コンッ……コンッ……。
(こんな時間に誰だ?)
扉を開けると、そこにはアレシアの姿があった。