第38話 銀髪の魔女
文字数 2,149文字
ランシーヌ達がヤルトンの町を離れた翌日に、修道女の一団が町に到着したのだ。
その一団は、銀髪の修道女をリーダーとして構成されており、5人いた。その内の1人は背が高く大柄な修道女だった。
その修道女達は町に入ると躊躇なくエリノーラが潜んでいた町はずれの廃墟に向かっていた。
廃墟に到着した修道女達は、周囲を警戒しながら探索を行ったのである。
そして、廃墟の中に地下室に続く階段を見つけ、下に降りて行った。
修道女の1人が呪文を唱えると指先に火を灯す魔法を使ったようだ。
地下室を照らし、周りを見渡していると腐臭が漂っていた。
彼女達は、その匂いに顔をしかめながらも匂いの元を探し当てたのだ。
そこにはエリノーラや配下の腐り始めた死体を発見していた。
この死体達は、町の人間から不審がられないようランシーヌ達が地下室に移したのだった。
「ここで、1人の魔女が倒されたようね……」
銀髪の修道女が口を開いた。
その横にいた修道女が質問してきた。
「何か、手がかりはありますか?」
彼女は少し考えてから返答したのだ。
「何もないわね……。もう1人の魔女は、もう町にいない可能性があるわ……」
「そうですか……。それでは、これからどうしますか?」
銀髪の修道女は少し考えてから答えたのである。
「そうね……。この町で情報収集をしながら魔女を捜すわよ」
彼女はそう言うと、他の修道女に指示を出して廃墟を後にしたのだ。
そして、廃墟には静寂だけが残されたのであった……。
廃墟を出た後、町の教会に修道女達は向かったのだ。
町の教会に入ると神父や修道士達が出迎えてきた。
「ようこそ、いらっしゃいました。私は神父のラッセルです」
神父が挨拶してきたので、銀髪の修道女が答えたのだ。
「私は修道女のカサンドラと申します。最近、この町に妖しい者達が出入りしていると聞きましてやって参りました。その者について何か知りませんか?」
そう質問すると、神父達は少し考え込んだが何も知らなかったようだ。
「申し訳ありません……。存じ上げません……」
彼の言葉を聞いたカサンドラは失望し、神父を問いただしたのだ。
「他に何か、最近変わったことはありませんでしたか?」
神父は少し考え込んだが、思いつかないようだ。
「いえ……特に御座いませんでした……」
「そう……。じゃあ、用済みよ」
「はぁ? どうゆう意味ですか?」
カサンドラは背の高い修道女に目で合図すると、彼女は神父の胸を素手で貫いて引き戻すと心臓を掴んでいたのだ。
彼は自分の胸を見て風穴が開いているのを呆然と見ていたが、すぐに白目を剝き絶命したのだ。
神父の心臓はまだ、ドクドクと脈打っていたが彼女は握り潰すと鮮血がほとばしった。
「何をする!」
修道士達が叫ぶと、カサンドラは冷たい目で見つめながら答えたのだ。
「エルミス教の信徒達は殺してあげる……」
そう言うと、彼女達は修道士達を次々と殺害していったのだ。
そして、教会の中にいた全員が殺されたのであった……。
この出来事を遥か遠くから眺めていた存在がいた。
修道女の一団は人通りが少ない路地を進んでいた時、小さな店の前で老婆が立っていたのを見かけた。
そして、老婆が話しかけて来たのだ。
「占いをしてみんかね?」
老婆はそう言うと、店の中に彼女達を誘うのだった。
「面白そうね……」
その怪しい誘いにカサンドラは乗る事にしたのだ。
そして、彼女達は店の中に入って行ったのである。
中に入ると老婆は奥にある部屋に入って行ったのだ。
彼女達もその後に続いて入って行くと、そこは小さな部屋であった。そして、老婆は水晶玉が置かれた机の前に座り語りかけてきたのだ。
「ようこそ……。さあさあ座っておくれ……」
そう言われたので、カサンドラが椅子に座ると老婆は話しかけてきた。
「あんた達は人間じゃないね?」
そう言うと修道女達は驚いた表情をしていた……。直ぐに皆、老婆に向けて殺気を放っていた。
「おお、怖い怖い……」
老婆は、おどけた表情をして見せた。
「……どうして、そう思ったの?」
カサンドラがそう聞くと老婆は答えてくれたのだ。
「あんた達から人間じゃない気配を感じたんじゃよ」
「そうなのね……。まあ、いいわ……それよりも占いをお願いできるかしら?」
「ああ、いいよ……。どんな事を占うんだい?」
「私達が捜している魔女が、何処にいるかお願いするわ」
「ああ、わかったよ」
老婆は頷いた後、水晶玉に手をかざして見詰めていた。
暫くの間、見詰めた後に老婆は言ったのである。
「この町から北に向かう町にいるようだね……」
「そう……。分かったわ……」
カサンドラはそれだけ言うと立ち上がり、部屋を出て行こうとしたが老婆が話しかけて来たのだ。
「待っておくれ……」
彼女は振り向き様、老婆に話し掛けた。
「何かしら?」
「あんた達は何者なんだい?」
「さあ、何者かしらね……」
カサンドラはそう言うと部屋から出て行ったのだ。その後を、残りの者達が追いかけ外に飛び出して行った。
彼女達が大通りに出て見えなくなるまで老婆は見送っていた。
「魔女同士で潰し合うがいい……。それが、あの方の為になる……」
老婆は修道女達が見えなくなった方向を見ながらニンマリと笑っていたのだった……。
その一団は、銀髪の修道女をリーダーとして構成されており、5人いた。その内の1人は背が高く大柄な修道女だった。
その修道女達は町に入ると躊躇なくエリノーラが潜んでいた町はずれの廃墟に向かっていた。
廃墟に到着した修道女達は、周囲を警戒しながら探索を行ったのである。
そして、廃墟の中に地下室に続く階段を見つけ、下に降りて行った。
修道女の1人が呪文を唱えると指先に火を灯す魔法を使ったようだ。
地下室を照らし、周りを見渡していると腐臭が漂っていた。
彼女達は、その匂いに顔をしかめながらも匂いの元を探し当てたのだ。
そこにはエリノーラや配下の腐り始めた死体を発見していた。
この死体達は、町の人間から不審がられないようランシーヌ達が地下室に移したのだった。
「ここで、1人の魔女が倒されたようね……」
銀髪の修道女が口を開いた。
その横にいた修道女が質問してきた。
「何か、手がかりはありますか?」
彼女は少し考えてから返答したのだ。
「何もないわね……。もう1人の魔女は、もう町にいない可能性があるわ……」
「そうですか……。それでは、これからどうしますか?」
銀髪の修道女は少し考えてから答えたのである。
「そうね……。この町で情報収集をしながら魔女を捜すわよ」
彼女はそう言うと、他の修道女に指示を出して廃墟を後にしたのだ。
そして、廃墟には静寂だけが残されたのであった……。
廃墟を出た後、町の教会に修道女達は向かったのだ。
町の教会に入ると神父や修道士達が出迎えてきた。
「ようこそ、いらっしゃいました。私は神父のラッセルです」
神父が挨拶してきたので、銀髪の修道女が答えたのだ。
「私は修道女のカサンドラと申します。最近、この町に妖しい者達が出入りしていると聞きましてやって参りました。その者について何か知りませんか?」
そう質問すると、神父達は少し考え込んだが何も知らなかったようだ。
「申し訳ありません……。存じ上げません……」
彼の言葉を聞いたカサンドラは失望し、神父を問いただしたのだ。
「他に何か、最近変わったことはありませんでしたか?」
神父は少し考え込んだが、思いつかないようだ。
「いえ……特に御座いませんでした……」
「そう……。じゃあ、用済みよ」
「はぁ? どうゆう意味ですか?」
カサンドラは背の高い修道女に目で合図すると、彼女は神父の胸を素手で貫いて引き戻すと心臓を掴んでいたのだ。
彼は自分の胸を見て風穴が開いているのを呆然と見ていたが、すぐに白目を剝き絶命したのだ。
神父の心臓はまだ、ドクドクと脈打っていたが彼女は握り潰すと鮮血がほとばしった。
「何をする!」
修道士達が叫ぶと、カサンドラは冷たい目で見つめながら答えたのだ。
「エルミス教の信徒達は殺してあげる……」
そう言うと、彼女達は修道士達を次々と殺害していったのだ。
そして、教会の中にいた全員が殺されたのであった……。
この出来事を遥か遠くから眺めていた存在がいた。
修道女の一団は人通りが少ない路地を進んでいた時、小さな店の前で老婆が立っていたのを見かけた。
そして、老婆が話しかけて来たのだ。
「占いをしてみんかね?」
老婆はそう言うと、店の中に彼女達を誘うのだった。
「面白そうね……」
その怪しい誘いにカサンドラは乗る事にしたのだ。
そして、彼女達は店の中に入って行ったのである。
中に入ると老婆は奥にある部屋に入って行ったのだ。
彼女達もその後に続いて入って行くと、そこは小さな部屋であった。そして、老婆は水晶玉が置かれた机の前に座り語りかけてきたのだ。
「ようこそ……。さあさあ座っておくれ……」
そう言われたので、カサンドラが椅子に座ると老婆は話しかけてきた。
「あんた達は人間じゃないね?」
そう言うと修道女達は驚いた表情をしていた……。直ぐに皆、老婆に向けて殺気を放っていた。
「おお、怖い怖い……」
老婆は、おどけた表情をして見せた。
「……どうして、そう思ったの?」
カサンドラがそう聞くと老婆は答えてくれたのだ。
「あんた達から人間じゃない気配を感じたんじゃよ」
「そうなのね……。まあ、いいわ……それよりも占いをお願いできるかしら?」
「ああ、いいよ……。どんな事を占うんだい?」
「私達が捜している魔女が、何処にいるかお願いするわ」
「ああ、わかったよ」
老婆は頷いた後、水晶玉に手をかざして見詰めていた。
暫くの間、見詰めた後に老婆は言ったのである。
「この町から北に向かう町にいるようだね……」
「そう……。分かったわ……」
カサンドラはそれだけ言うと立ち上がり、部屋を出て行こうとしたが老婆が話しかけて来たのだ。
「待っておくれ……」
彼女は振り向き様、老婆に話し掛けた。
「何かしら?」
「あんた達は何者なんだい?」
「さあ、何者かしらね……」
カサンドラはそう言うと部屋から出て行ったのだ。その後を、残りの者達が追いかけ外に飛び出して行った。
彼女達が大通りに出て見えなくなるまで老婆は見送っていた。
「魔女同士で潰し合うがいい……。それが、あの方の為になる……」
老婆は修道女達が見えなくなった方向を見ながらニンマリと笑っていたのだった……。