第97話 手玉に取られたニア

文字数 3,291文字

 2人が向かったのは双子達がマチルダ、ベルを倒した場所だった。そこには気を失っているマチルダ、ベルが地面に横たわっていたのだ……。

 そして、双子達の前にジェイコブとベスが現れたのである。


「ベス! 何故、敵と一緒にいるの!?」


 そう言って叫んだのはニアだったのだ。そんな彼女にジェイコブは笑みを浮かべて答えたのだった。


「何故って? 貴女達を倒しに来たんですよ?」


 その言葉にニアはベスの虚ろな表情を見て言ったのである。


「もしかして、操られているの!?」


 彼女の言葉にベスは暗い目をして答えたのだった。


「はい……、私は彼の忠実なる下僕です……」


 そんなベスの言葉に双子達の表情は怒りに満ちていた。そして、2人同時に叫んだのである。


「許さない!」


 そう言って双子達はベスの後に隠れているジェイコブに攻撃を開始したのだ。彼女達の行動に彼はベスに命令したのだ。


「彼女達を血祭りにして下さい……」

「はい……」


 その言葉にベスは無表情で2人に向かって行ったのだった。

 そして、彼女はつむじ風に変身して襲いかかって来たのである。それはあまりにも速い風の衝撃で双子は避ける事が出来ずにもろに攻撃を受けてしまったのだ……。


「きゃあああ!!」


 2人はそのまま地面に体を叩きつけられてしまい悶絶していた……。そんな2人にジェイコブは笑みを浮かべて言ったのだ。


「ふふ……、貴方達では彼女に勝てません……」


 そう言ってジェイコブは倒れている双子達の前に立って彼女達を見下すような目で見ていたのである。そして、ベスの方を向くと言ったのだ。


「さて……、どう止めを刺しましょうか……?」


 彼は思案しながら呟いていた。そして、彼はニアに近付くと彼女にジェイコブは言ったのである。


「どんな風に死ぬのがお望みですか?」


 その言葉にニアは恐怖を感じてしまっていた。そんな彼女にジェイコブは続けて囁いたのである。


「死ぬのがお望みですか? それとも操られる方がいいですか?」

「糞ったれ!! 誰がお前なんかに……!!」


 そう叫びながらニアは立ち上がりジェイコブを攻撃をしようとしたのだが、彼の囁きを聞いて体が動かなくなっていたのである。


「何を……したの……!?」


 不安で気が動転したニアにジェイコブは笑みを浮かべて答えた。


「私の声の囁きを聞いた相手を操れるんですよ……、さて貴女をどうしましょうか……?」


 ジェイコブの囁きにニアは体を動かそうと抵抗していたがやはり動かなかったのだ。


「くっ……!」


 そんなニアにジェイコブは笑みを浮かべながら言ったのだ。


「そうだ……! 貴女を操って姉妹で殺し合いをして貰いましょう……」


 そう言って彼はニアに近付き体を触り始めたのだ。


「ちょっと! 止めて!!」


 そんなニアの言葉を無視してジェイコブは彼女に語りかけたのだった。


「貴女を操るために快感を与えます……。そして、貴女は私の忠実なる下僕となるのです……。私が彼女を操る準備をする間、姉の方の相手をして下さい」


 そう言ってジェイコブはベスに命令し、彼女はミラの方へ近付いて行ったのだ。


「ベス……、貴女……」


 そんなミラはベスの虚ろな目を見て言ったのである。


「今から貴方を攻撃します……」


 そう言った瞬間、彼女はつむじ風に変身してミラに襲いかかって来たのだった。だが、その攻撃を間一髪で避けたミラだったが、彼女の攻撃はそれだけで終わらず今度は風の刃が襲って来たのだ。


「くっ!」


 何とか避ける事に成功したが、体勢を崩してしまいミラは膝をついてしまったのだ。そして、ベスの攻撃を避け続ける事が出来なくなり風の刃を直撃してしまったのである……。


「うあっ!!」


 ミラは切り裂かれ悲鳴を上げて地面に倒れてしまったのだった。そんな時、ジェイコブはニアの陰部に指を這わせて刺激を与えていたのだ。


「あ……、ああ……」


 ニアは陰部を弄られて快感を感じていたのである。そんな彼女にジェイコブは言ったのだ。


「貴女が快感を受け入れれば私の下僕となるでしょう……」

「だ、誰が……!」


 そんなニアに彼は言ったのだ。


「ではもっと感じさせてあげます……」


 そう言ってジェイコブは陰部に指を入れてきたのだ……。その指の動きの刺激に耐えられず彼女は遂に絶頂を迎えてしまったのである……。


「ああぁぁ!!」


 そして、体から力が抜けていったのであった……。そしてジェイコブは彼女の唇に自分の唇を重ねて舌を絡ませてきたのだ。


「んっ!? んんっ!」


 彼女は突然の行為に戸惑い混乱していた。そして、同時に快感も感じていたのだった……。

 その彼女の口内を犯しながらジェイコブは彼女に囁いたのである。


「気持ちよかったですか?」


 そんな彼の言葉にもニアは反応せず、ただ呆然としていたのだった……。そんな彼女の陰部を弄り続けていたジェイコブは笑みを浮かべたまま言ったのである。


「どうやら私の下僕になったようですね……」


 そんな彼にニアは不敵な笑みを浮かべて答えたのだ。


「はい……、貴方の下僕です……」


 彼は彼女の言葉にほくそ笑むと指示を出したのであった。


「姉妹で殺し合いなさい……」

「はい……」


 そう言った瞬間、ミラに向かって行ったのだ。そして、目の前に操られた妹を目にしてミラは絶望してしまっていた。


「ニア……、駄目……」


 そんな彼女の訴えも虚しくニアの爪でミラの体を斬りつけたのである。彼女はその攻撃を何とか避けたが、腕に掠り傷を負ったのだった。


「ニア! やめて!」


 そんな姉の声にニアは無表情で無言だったのだ。


「……」


 そして再び爪で攻撃してきたのである。その攻撃を今度は避ける事が出来ずに彼女は腕を斬られてしまったのだった。彼女は痛みで呻いたのだ……。


「ああぁ!!」


 その悲鳴を聞いてジェイコブは不気味な笑みを浮かべていたのだった……。そして、彼はニアに指示を出したのだ。


「次は急所を狙いなさい……」

「はい……」


 そう言って彼女は姉の首めがけて爪で引っ掻こうとしたのだ……。その瞬間、ミラは後方へ飛び退いたのであった。

 そして、ニアを睨み付けると言ったのだ。


「ニア……、目を覚まして! 貴女は操られているの!!」


 そんな姉の訴えも虚しく妹からは完全に感情が消えていたのだ。そんな彼女にジェイコブは説明したのだった。


「私に操られているので無駄ですよ……」


 その言葉にミラは怒りを露わにして叫んだのである。


「貴様ァア!!!」


 そんなミラの叫び声にも反応せず彼女は爪で攻撃をしてきたのだ。だが、間一髪でそれを避けると彼女はニアに抱き着いたのだった。

 そして、嗚咽をもらしながら必死に訴えたのである。


「お願いだから正気に戻って! 私を思い出して!」


 そんな姉の訴えにも反応せずニアは爪を振り下ろしてきたのだった……。



 ランシーヌとカサンドラが戦っていた頃、ルドレイの町の外では数人の男女達の一団が墓地に向かって歩いて来ていた。


「やっと着いたわ……」


 フードを深く被った女性の声に一人の男性が答えたのだ。


「ああ……、しかし本当に大丈夫なのか? 銀髪の魔女の守護者が死んだ時を狙うのだろう……?」


 その言葉に女性は笑みを浮かべて言ったのである。


「大丈夫よ……。そうなるように仕向けるから」


 そんな2人のやり取りにもう1人の女性が口を挟んだのだ。


「油断は禁物です……」


 そんな忠告をしてきた女性に老婆が反論したのだった。


「ふん! 我々が失敗するとでも言いたいのかい?」


 老婆の鋭い眼光に睨まれて彼女は萎縮してしまったのだ。そんなやり取りをしている3人にフードを被った女性が話し掛けたのだ。


「そろそろ墓地に着くわ……」


 そんな彼女の言葉通り、遠目に墓地が見えてきたのである。そして、ルドレイの町から少し離れた場所に墓地はあったのだった……。

 4人はそのまま墓地までは行かず、離れた所から魔女達の戦いを窺っていたのである。

 老婆の能力で魔女達や配下達の戦いの行方を探っているようであった。


「どうやら戦っているみたいだね……」


 他の者達に見えない範囲まで見渡せる能力で老婆は笑みを浮かべながら答えたのだった……。
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