第47話 シャイラの心中
文字数 2,588文字
翌日になり、俺達は今日の行動について話し合っていた。
「俺は剣の刃こぼれが気になるから、武器屋に行こうと考えてるんだが……」
やはり、俺は剣の状態が気になるので武器屋が優先事項であったのだが皆が賛成してくれた。
「私は特に用事はないわ……。でも、情報を集めに街中に行くわ」
ランシーヌが言うと、双子達も頷いていた。
「私も武器屋に行きたいけど、ランシーヌと一緒に街中に行くわ」
「魔女の情報だけでなく、あの騎士達の情報も集めないとね」
どうやら、別行動のようだ。そこで俺はシャイラに声を掛けたのだ。
「じゃあ、君は一緒に行くか?」
そう言うと、彼女はしばらく考えていたが頷いていた。
「ええ……、一緒に行っても良いわ……」
どうやら彼女も了解してくれたようだ。双子達は残念そうな顔をしていたが仕方がないことだと諦めていたのだった。
3人に別れを告げた後、俺はシャイラを連れて武器屋に向かうことにしたのだ。
俺達は武器屋まで行くと、店主に剣の刃こぼれを見てもらうことにした。
「刃の状態を見て貰えるか……」
俺が言うと、店主は快く引き受けてくれていたのだ。そして、彼は俺の剣を手に取ると刃の状態を確認してくれていたのである。
「ああ……、だいぶ傷んでいるな……。だが、研ぎ直せば元の状態に戻るぜ……」
店主はそう言うと、刃を研ぎ直してくれると約束してくれたのだ。
「分かった……、また来るよ」
礼を言うと、店内に飾られていた立派で大きいグレートソードが目に付いたのである。
「あの剣はいくらぐらいするんだ?」
俺がそう聞くと、店主は少し考えて答えてくれた。
「売り物じゃないんだ……。だから値段は分からないんだ……。それと、重すぎるから実戦では使えないんだよ」
「あの剣を持って振るうことが出来る人間はいるのか?」
そう聞くと、店主は首を横に振って答えたのだ。
「いや……、あの剣をまともに振れる奴を見たことないな……。せいぜい、両手で持つだけだ……」
どうやら、あの剣はかなり重いようだ。俺には扱えそうにないと思ったので諦めることにした。
そして、俺達は金を払って店を出て行きランシーヌ達を捜そうと歩き出したのであった。
2人で街を歩きながらランシーヌ達を探していると、シャイラが聞いてきた。
「あなたは何故、ランシーヌと一緒に旅をしているの?」
シャイラは不思議そうに聞いてきたのだ。それに対して俺は素直に答えていた。
「まあ、成り行きでな……。何となく彼女に巻き込まれた形なんだ……」
俺が苦笑いしながら言うと、彼女は納得していたようだ。そして、さらに質問してきたのである。
「じゃあ、ランシーヌはあなたの恋人なの?」
俺はその問いに苦笑して答えていた。
「いや……、そうじゃないさ……。そういう関係ではないんだ……」
「そうなのね……」
彼女は納得するとそれ以上は聞いてこなかったのである。
そして、今度は俺から彼女に質問をしてみたのだ。
「君はどうして、アンドレアの守護者になったんだ?」
すると、シャイラは淡々と語り始めたのだ。
「私は……、昔……、両親が疫病に罹って死に弟と一緒に奴隷商人に売られたの……。別々に売られそうになっていた所をアンドレア様が2人一緒に助けてくれたのよ……」
彼女は悲しそうな表情を浮かべながら話していた。そして、さらに話を続けていたのである。
「アンドレア様は私と弟を買って下さって、それから私達姉弟を養ってくれたの……。それから、私はアンドレア様の役に立ちたいって思って……、守護者になったのよ」
「そうか……、君はアンドレアに助けられたんだな……」
少なくとも、アンドレアは悪逆非道な領主ではなく民を思いやった領主でもあったようだ。ただ、魔女であったためランシーヌの敵となってしまったが……。
「本当は……、弟を殺した双子は許せない。けど、その事をランシーヌに話せば力を奪われるか最悪、粛清されるかもしれない……」
彼女はそう言うと拳を握りしめていた。そして、苦悩に満ちた顔をしていたのである。
「だけど……、今は我慢するわ……」
そう言うと、俺の目を見詰めてきた。その目は決意に満ちた目だったのである。
「今は、ランシーヌの目的を成し遂げる。彼女の為に戦うわ……」
その目は力強い眼差しであったのだ。俺は彼女の言葉を聞いて心が苦しくなっていたのである。
「君は強いんだな……」
その言葉に、彼女は少し笑ったのだ。だが、その瞳は寂しそうであった。
「私は強くないわ……。弱いからこうしてランシーヌに従っているのよ……。この話は内緒にしてね」
そして、彼女は俺の手を握ると真剣な眼差しで俺を見てきたのだ。
「ああ……分かったよ」
俺が頷くと安心したのか微笑んでいた。その笑顔はとても美しく見えたのである。
彼女の思いの強さに感心しながらも、同時に双子達と彼女の関係が悪化しない様に注意して監視しないといけないと俺は思ったのであった。
街を歩いていると、ランシーヌ達と合流したのだ。どうやら3人は情報屋から情報を集めてきたらしい。そして、ランシーヌは俺に報告してきたのである。
魔女については何も分からなかったが、騎士についての情報は手に入れたようだ。
「聞いた話によると、2ヶ月前程から隣国との衝突で超人的な強さを発揮している騎士がいるみたいよ」
「それで、その騎士の名前は?」
俺が聞くとランシーヌは教えてくれた。
「名前は……、アニウスとオトフリートよ」
その名前を聞いて俺は驚愕していた。昨日、酒場で出会った騎士達だったからだ。
「やはり、あの騎士達が……」
俺が確信していると、ランシーヌは話しを続けていた。
「ええ……、間違いないわ。彼等が魔女の配下よ」
どうやら、あの騎士達が魔女の配下だというのは確定のようだ。そして、ランシーヌは話を続けていた。
「それと、数か月前からエルミス教の教会の神父が連続死しているの。赴任する神父達が次々と死んでいったみたいよ」
「それは、本当か?」
ランシーヌは頷くとさらに話を続けた。
「ええ……。今は、誰も教会を管理できていない様ね……」
彼女の情報網は凄まじかった。俺は驚きながらも感心していたのである。
そして、彼女は最後に俺に言ってきたのだ。
エルミス教の教会に行ってみようと……。もしかしたら、何か魔女の事に関する情報があるかもしれないと……。
「俺は剣の刃こぼれが気になるから、武器屋に行こうと考えてるんだが……」
やはり、俺は剣の状態が気になるので武器屋が優先事項であったのだが皆が賛成してくれた。
「私は特に用事はないわ……。でも、情報を集めに街中に行くわ」
ランシーヌが言うと、双子達も頷いていた。
「私も武器屋に行きたいけど、ランシーヌと一緒に街中に行くわ」
「魔女の情報だけでなく、あの騎士達の情報も集めないとね」
どうやら、別行動のようだ。そこで俺はシャイラに声を掛けたのだ。
「じゃあ、君は一緒に行くか?」
そう言うと、彼女はしばらく考えていたが頷いていた。
「ええ……、一緒に行っても良いわ……」
どうやら彼女も了解してくれたようだ。双子達は残念そうな顔をしていたが仕方がないことだと諦めていたのだった。
3人に別れを告げた後、俺はシャイラを連れて武器屋に向かうことにしたのだ。
俺達は武器屋まで行くと、店主に剣の刃こぼれを見てもらうことにした。
「刃の状態を見て貰えるか……」
俺が言うと、店主は快く引き受けてくれていたのだ。そして、彼は俺の剣を手に取ると刃の状態を確認してくれていたのである。
「ああ……、だいぶ傷んでいるな……。だが、研ぎ直せば元の状態に戻るぜ……」
店主はそう言うと、刃を研ぎ直してくれると約束してくれたのだ。
「分かった……、また来るよ」
礼を言うと、店内に飾られていた立派で大きいグレートソードが目に付いたのである。
「あの剣はいくらぐらいするんだ?」
俺がそう聞くと、店主は少し考えて答えてくれた。
「売り物じゃないんだ……。だから値段は分からないんだ……。それと、重すぎるから実戦では使えないんだよ」
「あの剣を持って振るうことが出来る人間はいるのか?」
そう聞くと、店主は首を横に振って答えたのだ。
「いや……、あの剣をまともに振れる奴を見たことないな……。せいぜい、両手で持つだけだ……」
どうやら、あの剣はかなり重いようだ。俺には扱えそうにないと思ったので諦めることにした。
そして、俺達は金を払って店を出て行きランシーヌ達を捜そうと歩き出したのであった。
2人で街を歩きながらランシーヌ達を探していると、シャイラが聞いてきた。
「あなたは何故、ランシーヌと一緒に旅をしているの?」
シャイラは不思議そうに聞いてきたのだ。それに対して俺は素直に答えていた。
「まあ、成り行きでな……。何となく彼女に巻き込まれた形なんだ……」
俺が苦笑いしながら言うと、彼女は納得していたようだ。そして、さらに質問してきたのである。
「じゃあ、ランシーヌはあなたの恋人なの?」
俺はその問いに苦笑して答えていた。
「いや……、そうじゃないさ……。そういう関係ではないんだ……」
「そうなのね……」
彼女は納得するとそれ以上は聞いてこなかったのである。
そして、今度は俺から彼女に質問をしてみたのだ。
「君はどうして、アンドレアの守護者になったんだ?」
すると、シャイラは淡々と語り始めたのだ。
「私は……、昔……、両親が疫病に罹って死に弟と一緒に奴隷商人に売られたの……。別々に売られそうになっていた所をアンドレア様が2人一緒に助けてくれたのよ……」
彼女は悲しそうな表情を浮かべながら話していた。そして、さらに話を続けていたのである。
「アンドレア様は私と弟を買って下さって、それから私達姉弟を養ってくれたの……。それから、私はアンドレア様の役に立ちたいって思って……、守護者になったのよ」
「そうか……、君はアンドレアに助けられたんだな……」
少なくとも、アンドレアは悪逆非道な領主ではなく民を思いやった領主でもあったようだ。ただ、魔女であったためランシーヌの敵となってしまったが……。
「本当は……、弟を殺した双子は許せない。けど、その事をランシーヌに話せば力を奪われるか最悪、粛清されるかもしれない……」
彼女はそう言うと拳を握りしめていた。そして、苦悩に満ちた顔をしていたのである。
「だけど……、今は我慢するわ……」
そう言うと、俺の目を見詰めてきた。その目は決意に満ちた目だったのである。
「今は、ランシーヌの目的を成し遂げる。彼女の為に戦うわ……」
その目は力強い眼差しであったのだ。俺は彼女の言葉を聞いて心が苦しくなっていたのである。
「君は強いんだな……」
その言葉に、彼女は少し笑ったのだ。だが、その瞳は寂しそうであった。
「私は強くないわ……。弱いからこうしてランシーヌに従っているのよ……。この話は内緒にしてね」
そして、彼女は俺の手を握ると真剣な眼差しで俺を見てきたのだ。
「ああ……分かったよ」
俺が頷くと安心したのか微笑んでいた。その笑顔はとても美しく見えたのである。
彼女の思いの強さに感心しながらも、同時に双子達と彼女の関係が悪化しない様に注意して監視しないといけないと俺は思ったのであった。
街を歩いていると、ランシーヌ達と合流したのだ。どうやら3人は情報屋から情報を集めてきたらしい。そして、ランシーヌは俺に報告してきたのである。
魔女については何も分からなかったが、騎士についての情報は手に入れたようだ。
「聞いた話によると、2ヶ月前程から隣国との衝突で超人的な強さを発揮している騎士がいるみたいよ」
「それで、その騎士の名前は?」
俺が聞くとランシーヌは教えてくれた。
「名前は……、アニウスとオトフリートよ」
その名前を聞いて俺は驚愕していた。昨日、酒場で出会った騎士達だったからだ。
「やはり、あの騎士達が……」
俺が確信していると、ランシーヌは話しを続けていた。
「ええ……、間違いないわ。彼等が魔女の配下よ」
どうやら、あの騎士達が魔女の配下だというのは確定のようだ。そして、ランシーヌは話を続けていた。
「それと、数か月前からエルミス教の教会の神父が連続死しているの。赴任する神父達が次々と死んでいったみたいよ」
「それは、本当か?」
ランシーヌは頷くとさらに話を続けた。
「ええ……。今は、誰も教会を管理できていない様ね……」
彼女の情報網は凄まじかった。俺は驚きながらも感心していたのである。
そして、彼女は最後に俺に言ってきたのだ。
エルミス教の教会に行ってみようと……。もしかしたら、何か魔女の事に関する情報があるかもしれないと……。