第51話 五一、師走、出仕先の祐子内親王家
文字数 331文字
師走になってから、再び宮家へ参上した。局を与えられ、このたびは数日間お仕えをした。宮の御前には時々、夜分にも上がって、見知らぬ女房の中でうち混じって横になって、少しもまどろむことも出来なかった。恥ずかしく、気詰まりで、偲んで泣きそうになった。明け方まだ夜深いうちに局に下がった。一日中、家では父が老い衰えて、私を、子としても頼もしく思い、かばい守ってくれ、向かい合って暮らしていたのに、と恋しく気懸かりに思っている。母を亡くした姪達も、生まれたときから一緒に住み、夜は、私の左右に寝起きしていたことも、しみじみ思い出されたりして、心も空っぽのまま過ごしている。出仕先の祐子内親王家は、局の外で立ち聞きや、覗き見をする人の気配がして、とても気詰まりでたまらない。