第20話 二〇、物語と夢
文字数 262文字
物語のことを、昼は一日中、思つづけ、夜も目のさめている限りは、 これをのみ心にかけていると、ある夜の夢に見たのが、「このごろ皇太后宮の姫宮の一品の宮の御用に、六角堂に遣り水を作った」という人がいたので、「それはどうしてですか」と問えば、「天照御神を念じなさい」と言う。そんな夢を見たのだけれど、人にも語らず、なんとも思わずに何もしなかったのは、ほんとうに言う甲斐もないことだ。
春ごとに、この一品宮を眺めやりながら、花がもうじき咲くだろうと待ち、散っていくと嘆く、その春の間は、ただわが宿のように宮家の花を見つめつづけている
春ごとに、この一品宮を眺めやりながら、花がもうじき咲くだろうと待ち、散っていくと嘆く、その春の間は、ただわが宿のように宮家の花を見つめつづけている