第１３話 十三、粟津、師走二日入京
文字数 247文字
粟津に留まり、師走の二日に京に入る。暗くなって京に行き着くようにと、午後四時に栗津をたって行くと、逢坂の関が近くなり、山面にかりそめの切懸という板囲いをした上から、丈六の仏像が、いまだ荒作りのままおわすのだが、顔の部分だけ見ることができた。あはれにも、人離れたところに、いずこともなくて立っておわす仏かなと、見ながら過ぎ去って行った。
多くの国々を通り過ぎてきたが、駿河の清見が関と、逢坂の関だけは、これ程すごいものは、他にはなかった気がする。とても暗くなって、三条の宮の西隣なるわが家に着いた。
多くの国々を通り過ぎてきたが、駿河の清見が関と、逢坂の関だけは、これ程すごいものは、他にはなかった気がする。とても暗くなって、三条の宮の西隣なるわが家に着いた。
