第88話 逢坂の関のうなぎ屋 エッセイ

文字数 782文字

 うなぎ屋は同じ経営らしい。左側の店は古い日本家屋で座敷の個室で食べる。値段も部屋代もかかりお高い。ここまで来たからには多少奮発してもいいと思った。受付表に名前を書いた。すでに終わった客の名前は斜線が引いてある。十組の待ち人の名があり、待ち合いのの部屋では、人々はスマホを見ながら時が来るのを待っている。道路右側にあるウナギ店は、レストランで二階に広い部屋がある。受付表に待ち人十組の名前が書かれている。時間は十二時半である。ちょうど昼食に時間で大混雑の状況である。入り口の廊下で待つ人。扇風機が生ぬるい風を送ってくる。室内の待合は冷房も効いている。
 一時十五分にようやく席に着けた。ホールには四人掛けに椅子と机が十テーブル。右側の畳の間は堀こたつ風で足を入れ座る。窓ガラスの向こうに通りの建物が見える。四組のセットである。左側に和室があり、畳の上にテーブル椅子が置いてあるここも四組セット。大勢の客がウナギのかば焼きを食べている。ジジババにつれてきてもらった丸刈り頭の二人の高校生。若者は肝吸いを食べれないようで、爺様が食べている。会計はバー様が払う。脱いだ靴を履いている少年に訊いた。「高校生ですか?シャツの背中に比叡山とかいてありますが」「そうです野球部です」という「甲子園にもでた比叡山高校ですか」にっこりわらい「そうです」と答えてくれた。がんばれ高校球児と心で応援した。
 中年の夫婦連れも多い。若い男女も注文がくるのを待っている。三十分後に頼んだうな重が来た。たれがおいしそうな匂い、茶色く甘ったるい味。たれとご飯だけでも美味しい。江戸から続くうなぎ屋、団体客がバスでやってきて、帰り際には白衣の調理人が5人並んでお見送り、近場の上得意も来たのだろう。ウナギに錦糸卵に奈良漬がセットである。確かに旨い。三千円以上するが一年に一回はウナギを食べたくなる。 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み