第59話 五九、冬、関白殿の御邸にお仕え 

文字数 213文字

 冬になり、月もなく雪も降らないのだが、星の光に、空がみごとに、隈なく冴え渡っている夜のこと、関白殿の御邸の方にお仕えしている女房たちと、物語しながら夜を明かした。夜が明けると、立ち別れ別れし、退出したことを、女房が思い出して、
   「月もなく花も見ざりし冬の夜の心にしみて恋しきやなぞ」
 私もそう思っていたので、あの女房も同じ心だったのかと思うとおかしくて、
   「冴えし夜の氷は袖にまだとけで冬の夜ながら音をこそは泣け」

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