第8話 八、火の燃え立つ富士山(清美が関)  

文字数 346文字

 富士の山はこの駿河の国である。わたしが育った上総の国にては西の方に見えし山である。その山の様子は、とても他の所では、見たこともないような山である。さま異なる山の姿は、紺青を塗ったようで、雪が消えることもなく積もっているので、色の濃い衣に、白い「あこめ」を着たようにも見えて、山の頂が 少し平らな所から、煙が立ち昇る。夕暮れは火が燃え立っているのも見える。
清見が関は、片方は海である。関所の番人の家屋が沢山あり、海まで釘のような柵が設置されている。けぶり合うようで清見が関の浪も高くなっている。景色のおもしろきこと限りなしである。
田子の浦は浪が高いので、舟でもって漕ぎ巡った。
大井川という渡し場がある。水が、世の常ならず、すり粉などを、濃くし溶かし流したように、白い水が、早く流れているのだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み