第68話 六八、仏の御利益

文字数 238文字

 事も心にかなわない状況ではあったけれど、そのまま時の流れにまかせてきた。このような遠く離れた物詣でをしても、道中の様子を、風情があるとも辛いとも見てきたことで、自然と心もなぐさめられ、そんな物見遊山でも仏の御利益を頼しく、 さしあたって辛く嘆かわしいと思うこともないままに、ただ幼い子供たちを、早く思い通りに育てあげたいと思うにつけ、年月が過ぎて行くのも、心もとなく、せめて頼みに思う夫だけでも、人並になるような任官をしてくれたらと思い続けている心地は、頼もしいことである。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み