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文字数 393文字

「ミキタは役所がおうちょうにや」

 と父はミキタさんの仕事ぶりをそう言って評価した。

 母も市長になった当初、誰にも相談できず、父やミキタさんと我が家で役所内のことを話していた。

「本当に、ミキタには感謝しちょう」

 と母も家でミキタさんを呼んで飲んでいる時に、そう言った。

「ミキタって、見かけと違って本当に図太いし、ひょっとして、ちょっとたらんがやないろうかと思うこともあるけんど、本当にあんたは、人に何か言われても気にせんけん、凄いよ。
 淳之介はその点、繊細で優しすぎるし、おまけにクソ真面目で要領が悪いけん、組織人としてはちょっと不向きなところがあるけんど、ミキタは本当にボーっとしちょうゆうか、ごめん、ちょっと言い過ぎやねぇ、まぁ、あんたのそういうところがワタシは好きやけんどね」

 と母が飲んで酔っ払うと冗談交じりにそう言った。

「オニヤンマ」の活動は、母が市長になってから休止していた。




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