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文字数 474文字

 タヌキ市長は答弁に窮すると、隣に座る副市長と何やら話しをする。

「英雄色を好むっていうから、市長が英雄なのはよくわかりますけど、あなたが市長になってから、女性職員が自殺してますよね。
 その女子職員は、あなたと愛人関係にありましたね。
 それもあなたが強引に関係を迫り、拒むと職場におられなくすると脅し、無理矢理関係を迫ったんです。
 女子職員が子どもを身籠ると強制的に堕胎させ、その後女子職員が鬱になり休職したら、あなたは彼女をゴミのように捨てた。その結果、女性職員が自殺したんです。
 私はこのことを女性職員の親族の方から直接聞きました。
 市長、それは間違いないですよね? まさか、記憶にないとは言わせないですよ」

「そんなバカなことがあるものか!
 そ、そんな事実はないし、今のは大変失礼な発言だ。
 私を侮辱するのもいい加減にしてくれ! 非常に不愉快だ!」

 市長が興奮し動揺する姿に、傍聴席から失笑が漏れる。

 長老議員からは、マリアに対してヤジが飛び、傍聴席からは市長に怒声が飛ぶ。議場は紛糾した。

 市民の中で、マリアの鋭い質問のことが話題になっていた。




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