文字数 383文字

 マリアの家族は、父親が五年前に死に、母親と保育園の弟の三人だった。

 母親は心の病で働けず、父親の死後、生活保護を受けている。

「マリアのお父さん自殺して、お母さん病気で寝たきりみたいになっちょうけん、マリアが家のこと全部しようらしい」 

 マリアと家が近所のミキタから、マリアの家庭の事情を聞いた。

「マリア、病気でヒステリーのお母さんによくぶたれて、家の外で泣きよるがよ」

 ミキタから言われて、マリアの顔に時々あるあざの意味が解った。
 
「マリア、服も買うてもらえんし、小遣いも無いんだって。あいつ苦労しようがよ」

 ミキタがマリアに同情して言う。 

 そう言えば何回か、マリアの家の近くの砂浜で遊んだが、マリアはいつも脛が破れているブルージーンズによれよれのトレーナーを着ていた。

 淳之介は、苦労しているマリアが可哀想に思えて仕方ない。何かでマリアを助けてあげたいと思う。





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