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文字数 258文字

 二人は市営住宅に入居した。

 初めてマリアを抱いた夜、感涙にむせぶ淳之介を見て、

「普通は、女の方が泣くのに、ワタシ達はアベコベネ」

 と言って、マリアが笑う。

「笑うなちや、オレは、本当にマリアと一緒になれてうれしいがやけん」

 と淳之介は、しばらく泣き続けた。

 その間マリアは、子どもをあやすように、よしよしと淳之介の頭を撫ぜていた。

 淳之介は童貞だったのである。

 淳之介は学生時代、甘いマスクで結構モテていたが、マリアのことが忘れられず、女の子からプロポーズされても「ごめん、好きな子がおるけん」と断って来たのである。




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