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文字数 332文字

 市会議員になってマリアは驚いた。

 議員が総与党化しており、これでは首長と対等な関係を維持しながら市政を監視チェックするという議会の本来の役割が果たせない、そうマリアは感じた。

 議員の大多数が市長派に属しており、残りわずかの議員は、中立の立場に立っているものの内実は準市長派である。

 たった一人だけ頑固に派閥に属さない山本という議員がいた。

 三期目の山本は、議会の中で孤立し、他の議員からは無視され相手にもされない。

 山本も議員になった当初は、同期で当選した仲間がいて、彼らは山本と同じように森市長に厳しい姿勢で対峙していた。

 しかし、二期目に当選した頃から、味方だった議員も市長派の長老議員にポストをエサにそそのかされ、やがて市長派に鞍替えしてしまったのである。




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