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文字数 449文字

 淳之介もミキタも、生理的に合わない派閥の輩達に、追従してまで好かれたいとは思わない。

 少数派だが、労働組合運動を熱心にしている熱血漢の先輩や、変わり者で一匹狼だが正義感が強く上にも物申すタイプの先輩や、出世のことなど我関せずとマイペースで大らかな人柄の良い先輩等を見て、そっちの方に人間的魅力を感じると淳之介やミキタは思うのである。

 淳之介とミキタは、以後派閥の飲み会に誘われても参加しなかった。

 派閥に属さない淳之介やミキタは、市役所内で皆がエリートコースと勝手に思い込んでいる総務課や企画課に配属されることはなかった。しかし、淳之介とミキタはそんなことを気にしていない。二人は、住民のために仕事をしているとの自負がある。

 住民サービスは二の次で、自分の出世のことばかりを考え、派閥内の上司に気に入られようと金魚の糞のように後を付け回す職員達を見て、ああはなりたくないと軽蔑するのである。

 そうは言っても、組織の中で派閥に属さず一匹狼でいるってことは、想像する以上に孤独でしんどいことだけどね。




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