26

文字数 242文字

 夕暮の砂浜に座り、二人はぼんやりと海を眺めていた。

「本当に良い奴だったにゃ、あいつ……。
 マリアって歌に出てくる、あのアベマリアのような感じやったもんにゃ。
 歌の意味はよく知らんけど、きっとそんな奴だったよにゃ」

 ミキタがしみじみと言う。

「そうやにゃ、何たってアベマリアやもんにゃ」

 淳之介も虚ろにそう呟く。

「けんどマリア、絶対ここに帰って来るよにゃ」
 
 淳之介がそう言うと、

「どうかにゃ、だってマリアのお母さんここん嫌いやったけん……」

 ミキタが淳之介の希望を打ち砕くように言う。




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