文字数 289文字

 マリアは家では母親に替わり、炊事、洗濯、掃除、弟の世話等全てをしており、とても勉強する時間が無い。

 マリアを助けたい思いから、放課後図書室で、一時間だけ勉強を教えることにした。
 
 しかし、その一時間ですらマリアはじっとできない。

「ワタシって多動症ながやとぅ」

 マリアは自分のことをそう言って笑う。それは多分本当だろう。

 淳之介は気の長い方だから、マリアを怒ることなく、根気よく勉強を教えた。

 マリアはとにかく考えることが苦手で、解らなくなると、すぐに別のことをする。だから問題に集中できない。

 しかし、小学三年生の多動症の女の子だから仕方ないかと、いつも淳之介は許すのである。




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