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文字数 341文字

 土地家屋調査士を三度目の挑戦で合格した父は、市役所を退職し、事務所を開業した。

 債権者である農協にしたら、父が安定した市役所ということで連帯保証人としての担保を確保したかったであろう。

 しかし、父の病状悪化の原因の一つが体質に合わない市役所勤務にもあるということで、退職して事務所を開業するという話に同意するほかなかったのである。

 開業当初は、全く仕事の依頼がなかったが、親戚の司法書士が仕事を回してくれ、三年目くらいからは安定して仕事が来るようになった。

 市長である母は、一期目から市役所の改革に乗り出し、前市長の派閥の者で独占していた管理職を総入れ替えにするという荒療治をした。

 当然役所内ではハレーションが起き、しばらくはごたごたが続き、役所内の業務が回らない状態になった。




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