第74話  学校の怪談  花子さん

文字数 991文字

第74話 学校の怪談 花子さん1

「やっぱり学校の階段って言えばトイレの花子さんだよね。」

ユキオがうんうんと頷きながら言う。

幸田先生が言っていた近所の小学校に来て見た。

学校の怪談って言えば小学校だよね。

「だからー。それってたまたまトイレで会っただけで決めつけだし、ずっとトイレにいるわけでもないから。」

「それに花子っていいかげんな名前つけちゃって、だから子供って嫌。」

白いブラウスに赤い吊りスカートを履いた見たところ3年生ぐらいの女の子の姿をした地縛霊が言う。

地縛霊なんだからずっとトイレにいるんじゃないのかな?

「えーっ、花子さんじゃないのー?」

ユーコが言う。

「じゃなんて名前なの?」

「恵子よ。」

「フツーね。花子の方が全然いいんじゃないかな?」

「あんただって優子って全然フツーじゃないのよ。人の事言うなだわ。」

花子さん?恵子さん?はお怒りだ。

「どのくらい花子さんってやっているの?」

「わかんない。」

「どうして地縛霊になったの?」

「わたし地縛霊なの?」

「なんか話しになってないなー。」

「もう長い間地縛霊をやっているんじゃろう。」

「魂は既に冥界に行って魄のみが現世に残っているのじゃろうが記憶は徐々に拡散されて失われていくのじゃ。」

ドーラが憐れむように言う。

「浄仏出来ないの?」

「何か現世に引っかかりがあって留まっておるのじゃ、それが何かがわかれば浄仏するじゃろう。」

「本人が望んでいるかどうかはわからんがな。」

「ねえねえ、あんた達はいつでも私が見えているんでしょう?」

花子さん?恵子さん?が言う。

「なんか嬉しそうだね。」

「あんた達に着いて行こうかな?」

「憑いて?。」

「バカ、違うから。」

「花子さん小学校のトイレが定番じゃないの?」

「大丈夫よ、たくさんいるから。」

簡単に恵子さんは言う。

「たくさん?」

「だって全国の小学校をフォローしているのよ。たくさんいるに決まっているじゃない。この学校にしかいないなんて訳ないのよ。」

「それもそうか。」

こらこらユキオ何当たり前みたいに納得してんだよ。

「でそれは恵子さんの分身なの?」

ユーコが聞く。

「違うわよ、幸子や良子や聡子や由美やいっぱい居るわ。」

みんな何か曰く付きで学校で亡くなったか、学校に思いを引かれて逝った子達ってわけだ。

まあ物理的に家が狭くなるってわけでもないからいいか。」

と言うわけで「トイレの花子さん」は「お家の恵子さん」になった。


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