第16話 邪鬼
文字数 819文字
mmーll店を出て地下鉄に乗る。
何も変わったことはない。
10分ほどで団地前の駅に着く。
改札を通りぬけ、地上に出る階段の途中に小学校の低学年ぐらいの女の子が座っている。
サキが目を向けると、女の子は笑顔になって近づいてくる。
既に21時を過ぎているから女の子の年頃では家の外にいるような時間ではない。
「ひとりなの?」
と女の子に聞くと
「うん。」
とうなづく。
「うんじゃないでしょ、なんでこんな時間に、こんな年の子が一人でうろうろしているのよ。」
と思いながら周囲を見回すが確かに親らしい人物はいない。
警察に届出なくてはと頭では考えているのに何故かサキは子供の手を引いて自宅に向かう。
じきにサキにはそのことが不自然でもなんでもないように感じられるようになる。
女の子が狂暴な笑みを浮かべたことにサキは気がつかない。
「おかえりなさい。」とありさは玄関口に立つ。
女の子がサキの背後から姿を見せたとたんに、ありさは「きゃっ。」と言って、その実体を失い白い煙のような状態にして消えてしまう。
「どうした?」
とあきらが奥の部屋の襖を開けて出てくると同時に、サキは崩れるようにドアの内側に倒れる。
由美の姿がポジからネガへと反転するように黒く変わってゆく。
女の子の体が形をなくしながら空中に黒いしみのような物を漂わせていく。
あきらは強い威圧のようなものを感じる。
とっさにドーラがあきらとサキの前にでる。
爆発的な衝撃がドーラに襲いかかる。
「ふん、わしにその程度のものが効くか。」
ドーラが不敵に笑う。
それは、視覚的には炎をネガにしたような黒い揺らめくものが急に力を得て四方に広がって行くように見える。
しかし、それはあきらやサキの体には触れることが出来ないまま四散する。
小さな子供が無邪気に笑う声がして、それは段々遠ざかるように小さくなって消えた。
「ふう。」とあきらが過ぎ去った危機に息をつく。
「邪鬼であった。じゃがあやつは雑魚じゃ、人の魂を抜いてまわっているのは別物じゃ。」
何も変わったことはない。
10分ほどで団地前の駅に着く。
改札を通りぬけ、地上に出る階段の途中に小学校の低学年ぐらいの女の子が座っている。
サキが目を向けると、女の子は笑顔になって近づいてくる。
既に21時を過ぎているから女の子の年頃では家の外にいるような時間ではない。
「ひとりなの?」
と女の子に聞くと
「うん。」
とうなづく。
「うんじゃないでしょ、なんでこんな時間に、こんな年の子が一人でうろうろしているのよ。」
と思いながら周囲を見回すが確かに親らしい人物はいない。
警察に届出なくてはと頭では考えているのに何故かサキは子供の手を引いて自宅に向かう。
じきにサキにはそのことが不自然でもなんでもないように感じられるようになる。
女の子が狂暴な笑みを浮かべたことにサキは気がつかない。
「おかえりなさい。」とありさは玄関口に立つ。
女の子がサキの背後から姿を見せたとたんに、ありさは「きゃっ。」と言って、その実体を失い白い煙のような状態にして消えてしまう。
「どうした?」
とあきらが奥の部屋の襖を開けて出てくると同時に、サキは崩れるようにドアの内側に倒れる。
由美の姿がポジからネガへと反転するように黒く変わってゆく。
女の子の体が形をなくしながら空中に黒いしみのような物を漂わせていく。
あきらは強い威圧のようなものを感じる。
とっさにドーラがあきらとサキの前にでる。
爆発的な衝撃がドーラに襲いかかる。
「ふん、わしにその程度のものが効くか。」
ドーラが不敵に笑う。
それは、視覚的には炎をネガにしたような黒い揺らめくものが急に力を得て四方に広がって行くように見える。
しかし、それはあきらやサキの体には触れることが出来ないまま四散する。
小さな子供が無邪気に笑う声がして、それは段々遠ざかるように小さくなって消えた。
「ふう。」とあきらが過ぎ去った危機に息をつく。
「邪鬼であった。じゃがあやつは雑魚じゃ、人の魂を抜いてまわっているのは別物じゃ。」