第27話 魂喰い3

文字数 801文字

「それ、その呪符、それが使えそうじゃな。」

ドーラが蘆屋ユキオが持って来た「神道名目呪符護符百抄」の中の1つの呪符に目をつけた。

「お主えらい稀書をもっとるのう。」

「なんか、家にあった。」

蘆屋の家は確か商店街のプラモデル屋だったような?
なんでそんな本が家にあるのか?

「あきら、何してんの?」

あきらがスマホで本の写メを撮っている。

「呪符の写真とってプリントするんだよ。」

今はスマホからWI-Fiでプリンタ出力が出来るからめっちゃ便利。

「それって大丈夫なん?」

「個人使用だから著作権的には問題ないと思うけど?」

「いや、そうじゃなくてプリントした呪符って効くの?なんかこう書くのに作法や決まりがあってその上で毛筆で書かないと効かないとか?」

「ん?問題ないよ。この文字や図形に力があるので儀礼や作法の効果とは別物だから。」

あきらは全然頓着せずにどんどんプリントしていく。

実際呪符とか護符が作られた当時は筆で手書きするぐらいしか作成する手段が無かったからそうしただけだ。

当時にパソコンや印刷技術があれば印刷して売ったと思う。楽だし綺麗だしね。

極端な話しスマホの画面でも効くんだ。

「本当か?」

ユキオは半信半疑だ。

「その本だってページを開いたら呪符の効果が出てしまうので符は見開きの片側にしか書かれていないし本の両表紙に結界となる『紋』が書かれているよ。」

「ところでこの呪符って何なの?」

「擬魂符じゃ。ルアーみたいなもんじゃ。」

「普通に人が沢山いるのにわざわざ呪符に引っかかるの?」

「ルアーだって小魚がいっぱいいてもブラックバスが喰いついてくるじゃろうが。」

「あれは弱っていて喰いつきやすそうな小魚に見えるから喰いついてくるんじゃ。」

「普通、人は弱いなりにも結界を張っておるもんじゃ。この擬魂符は結界のない魂を演じるのじゃ。妖が集まること請合いじゃ。」

「うははーっ」

と、ドーラがいばっているけど、この本ユキオのだからね。

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