第32話    野良鬼2

文字数 783文字

「なんで竒牙羅(キガラ)がこんな所で寝てんの?」

アウラが玄関先でのびているキガラを拾い上げる。

ユキオがアウラとやって来た。
夏休みだからってこいつらは毎日やって来る。

アウラが式鬼になってなんだかユキオはウキウキしている。

アウラもあれで何千年も生きているおばばなんだけどな。

アウラがキッとあきらを睨む。

「お前なんか失礼な事考えただろう。」

感がいいな。

「なんでアウラがこいつらとつるんでんだ?」

「こいつだって魂喰いだろうが。」

アウラを指さして竒阿羅(キアラ)が言う。

あきらが鬱陶しそうに言う。

「だーかーらー、鬼や妖が魂喰うのは当たり前だし、人間は誰もそれを信じていないんだからどうでもいいんだ。」

「だけど鬼や妖が見える俺の身内や身の回りの者に手を出されるなら振り払わなきゃしょうがないだろう。」

それと百鬼夜行なんか当たり前にやられても迷惑だ。
早いこと空いている冥界の門の封印をしないと。

「ああ、そうだ。お前ら、小妖達の居場所をとってやるなよな。」

スタジャンを着た金髪姉ちゃんの竒阿羅(キアラ)があきらに詰め寄る。

「俺達がそのチビどもをいじめたってのかー。バカにすんな。」

あきらに掴み掛かろうとするがパチンっと弾かれるように手を引いた。

「くそっ、人間の癖に結界なんか張りやがって。」

「俺達はなー。冥界じゃ居場所がないから現世にいるだけなんだよ。お前達こそ俺達にちょっかいを出さないでくれよ。」

キアラはアウラから伸びているキガラを受け取って背を向ける。

「ああ、お前らにちょっかいかけてんのは禍邪(カジャ)の奴だからな。あいつ、強いしこっちに来て調子こいているからけっこう鬱陶しいぜ。」

手をひらひらさせて不可視化していく。

団地で大騒ぎをしているようだが普通の人には何も見えていないし聞こえていない。

問題なーし。

「確かに冥界は組織化が進んでいるから野良達には住みにくいじゃろう。」

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