第63話   播磨智徳の依頼1-1 学校

文字数 1,039文字

「塚田ー。頼むから授業中だけは前を向いていてくれー。あからさまに後ろを向いているってのは先生とっても悲しい。」

竒牙羅(キガラ)がセキセイインコ。

竒阿羅(キアラ)がサクラ文鳥。

禍邪(かじゃ)はハムスターの姿になってあきらの机の上で退屈そうにしている。

「かわいいー。」

そこにアウラがキイウイの姿でやってくるしで塚田優子にとってはとても授業を受けている場合じゃないのだ。

「お前たち、塚田の机の上に行け。」

あきらが言うと塚田優子は目をウルウルさせている。

セツヤやドーラは手のひらサイズになってこれもまた机の上で退屈そうにしている。

弥勒菩薩の降臨におじいちゃんの浄化とまあまあの大騒ぎだった。

あれから3ヵ月今の平穏な状態が鬼たちには物足りないのだろう。

野良鬼達の活躍で刹弥鬼(セツヤキ)神社は都市開発会社から播磨商事に所有権が移った。

今は播磨智徳(はりま とものり)社長のいとこの賀茂保仁(かも のやすひと)が宮司を務めている。

都市開発会社の重役達は毎日昼夜を問わずラップ音やポルターガイスト現象に襲われた。

社(やしろ)を壊してお札を剥がしたので何か怖しいものの封印を解いて祟られたか呪いをかけられたと思い込んでいた。

都市開発会社の重役達はやむを得ずなんとかコネを通じて「東方怪奇清掃株式会社」に相談した。

賀茂保仁(かものやすひと)は「東方怪奇清掃株式会社」の社員で刹弥鬼神社の件は事情をよく知っていた。

そこでいとこの播磨智徳(はりま とものり)社長やあきら達と組んで刹弥鬼神社の所有権を二足三文で譲渡させたのだ。

お陰で社も新設されてセツヤは刹弥鬼神社に戻っている。

そのセツヤがありさと一緒にパタパタと教室の中を走ってくる。

「セーメー、トモノリがー、学校の帰りでいいから会社に来てって。」

セツヤの後を小妖が息を切らして走ってくる。

「セツヤー待ってよー、セツヤのせっかち。」

何このちっちゃな狐?かわいいし。

「何、これ?」

あきらが言うと狐はぺこりと頭を下げてあいさつする。

「アタシ、タマモ。ヤスヒトの式神。」

ううむ、かわいい。抱っこしてモフってもいいだろうか?

塚田優子が新たなかわいい対象に目をキラキラさせている。

「塚田ー。学校に動物を連れてくるんじゃなーい。せめて前を向いて話しを聞いておくれー。先生は悲しい。」

あれ?この先生、鬼や妖が見えているのか?

「キガラ、キアラ。教壇の上に行ってみて。」

「塚田ー。インコと文鳥がこっちにきちゃっているぞー。」

やっぱり!幸田 先生には霊力があるんだ。












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