第57話  弥勒(ミスラ)

文字数 1,108文字

「いいのよ。あんた達の勘違いだって阿修羅(アスラ)や禍邪(カジャ)に聞いたわ。」

あきらとユキオは床に正座している。

「それに元はと言えば阿修羅(アスラ)達の説明のせいだったみたいだし。」

「ミスラの歌声に人間達がみんな魂を奪われてしまうって。あーははは。」

「間に受けすぎよ。」

「あの時に話しを聞いていた役小角(えんのおづぬ)なんか腰抜かしていたのよ。」

「うーふふふ。でもちゃんと言ってあげたらよかったわね。」

なんでかはわからないけど上機嫌のようだ。

あきらとユキオはほっと息をついた。

「あの時あんた達冥界の扉を封印して私のライブの邪魔をしたでしょう。」

ほっとしたのに急に空気が変わった。

死ぬ死ぬ死ぬ。

「あんな封印で私を止められると思ったのかしら?」

「私はねー。私が根性入れてセットしたドレッドヘアをあんた達がチリチリパンチパーマとか言って笑ったのにガッカリしたのよー。」

何これ絶対零度(コキュートス)?
小鬼や小妖達が身を寄せあっている。

「ミスラちゃんやり過ぎー。」

すねこすりのうちの一体がシッタールダの姿になった。

コチコチに凍ったプリンをスプーンでコンコン叩いている。

「いくらあきらやユキオ達が人間離れしていても死んじゃうよ。まあ、死んじゃっても冥界で遊べるからいいかもだけど。まだ現世でやってもらう事があるしね。」

「じゃあこっちで少し遊んでから帰ろうかな。」

ようやく部屋の温度は常温に戻ったみたいだ。

あきらとユキオはほっと息をつく。2回目かな?

結局2人は2週間程ミスラの食べ歩きや買い物に付き合わされた。

女の子の買い物なんて経験のない2人はクタクタだったけど、なんとか機嫌良くお帰りいただいた。

ちなみに経費は「東方怪奇清掃株式会社」が持った。

「鬼や神仏に散々踊らされた俺たちにすることって言ってもなー。」

あきらとユキオとユーコがお茶を飲んで煎餅をかじってくつろいでいる。

ユキオとユーコは付き合い始めたみたいだけど何故か揃ってあきらの家にくる。

ユキオが狐の耳でユーコは猫の耳なのか?猫又とかぶってややこしいぞ。

彼女のいない俺のところでいちゃつかれてもなー。

「ん?わしがおるではないか。」

ドーラがあきらの心を読んで言う。

「おまえは鬼だし、ちびっこじゃないか。条例違反で捕まってしまうわ。」

「女子高生モードの方が良いか?」

「いろいろ似たようなキャラクターの有名アニメがあるからやめてくれ。」

「つまらんのう。」

なんだか最近「ラ○ちゃん」より「L v.1魔○様」よりになってきた気がする。

「何をごにょごにょ言っておる。そりゃ人間が神仏を相手にするのは大変じゃろう。まあまあ楽しんだがの。」

「じゃがまだ事件は何も解決しておらんぞ。」
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