第2話  童羅(ドーラ)

文字数 726文字

「おまえ、なんで出て来た?」

大きさや見た目は小学3年生ぐらいだろうか。

鬼らしくトラ柄のパンツと一応ありもしない胸を覆うブラをつけている。

「お、お主覚えておらんのか?」


ばーさんか? 話し方が年寄りのようだ。

鬼なら何千年も生きている可能性もあるが見た目とギャップがありすぎる。

とりあえず「だっちゃ」とか言わないのでよかった。

「冥界の扉が半開きになったのでそこからこっちを見ていたんじゃ。」

「そうしたらお主がおるじゃないか。」

「それで声をかけようとしたんじゃがお主のあのピカーっでこっち側に弾き出されて来たんじゃ。」

なんかわからんことを言っている。

「君はなんなの?」

式神のありさが小鬼に聞く。

「わしか?わしは童羅(ドーラ)じゃ、知らんとこっちに引っ張ったのか?」

「しらん。引っ張った覚えもない。」

あきらが言う。

「なんじゃ無責任な事言うなよ。あのピカーっでわしは既にお主の式のひとつになっておるんじゃ。」

「帰れないの?」

「帰れん。」

「困ったな。いらんけどな。」

「いらんって言うなー。お主が拾ったんじゃからちゃんと世話しろー。」

あーっ、泣き始めた。

なんか猫を拾って来たみたいになっている。

「いじめちゃダメじゃないの。」

サキが抱き上げて頭を撫でている。

「じゃあ、ドーラは何が出来るの?」

「ご飯を食べてー、寝る。」

「やっぱり捨てよう。」

「待て待て、冗談じゃ。とりあえずわしがおればお主の霊能力は格段に強くなっておるはずじゃ。捨てるなよ。」

「ドーラの前に来てた奴はなんだったの」

「しらん。おおかた浮遊霊の類じゃないのか。野良鬼共に喰われてしまったじゃろうのう。」

「わしは通常は猫に化ける事が出来るから邪魔にはならんぞ。」

「この団地はペット禁止だからやっぱり....。」







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