第15話   呪い4

文字数 889文字

真言をとなえ、印を結んでいくとあきらの持つスマホの画像の星形の線が光り始める。

ポルターガイスト現象は一層激しさを増し、室内の物は宙を舞い飛び、地震でも起こったかのように部屋そのものが大きく揺れ動く。

あきらがオーラのような物に包まれていく。

ありさが人の形を失って白い光の固まりから細いひものような形になって黒い炎を五角形の線で囲むと部屋の中の物は急に力を失ったかのように床にバタバタと落ち、部屋も振動を止める。

黒い炎は抗うかのように動こうとするが直に硬直したように動かなくなってしまう。

黒い炎が収縮をはじめ小さな球体のようになってしまう。

ポンッという気の抜けたような音を立てて黒い球体はメモ用紙の星形の中に吸い込まれてしまう。

あきらは、しばらくメモ用紙を眺めていたかと思うと右手で手刀をかたどり、九字を切って放り投げる。

メモ用紙はマジックのように空中で燃え上がり消えてしまう。

「あきら見て。」

いつの間にかありさが人の形になって壁を指さす。

壁には鳥居の形が残っていた。

「ヒントかな?」

優子が言う。

「あの、黒いやつの罠とか警告ともとれるよ。」

ユキオがあきらの反応を確かめるように言う。

「それはないわ、鳥居の形は、人に害を成すようなものが描いたり、ふれたり出来るものじゃないのよ。」

とありさがいう。

式神にしては、ありさは人格がはっきりしすぎてるんじゃないか?

ユキオは不思議そうにありさをみる。

ユキオの思い描いていた式神は必要な時だけ出てきて、用が済んでしまうと消えてしまうようなものだと思っていた。

ところがありさはあきらがよんでもいないのについてくるし、あきらの指示以上のことも勝手に判断してする。

それに、あまりにも存在が生々しくて同級生の1人みたいに思ってしまう。

だれでも式神を造ることができるのなら、あきらに教えて貰っておれも鈴木あゆみのような式神を・・・。

と考えてニヤニヤしていると塚田優子がジロジロとユキオの顔を見ている。
ユキオは胸の内を見透かされたようでどぎまぎしながら笑ってごまかす。

あきらは壁を見ながら何かつぶやいている。
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