第39話 ダチ?

文字数 1,051文字

「おー、おかえり。」

竒牙羅(キガラ)と竒阿羅(キアラ)がダイニングで手を振っている。

「なんでお前らがここにいるんだ?」

「おー、キガラがお前とダチになったって言うから来てやったぞ。」

いやいや、どういう理屈かはわからないがえらく好意的(あつかましい)じゃないか。

「で、なんでキアラも?」

「ん?弟がダチなんだから俺も一緒に決まっているだろ。」

普通みたいにキアラが言う。

「それだとお前達の一族みんな俺のダチってことにならないか?」

キアラが首を傾げる。

え?こいつ、こんなに可愛かったっけ?

いかんいかん、最近鬼や妖に可愛いとか思ってしまう様になってしまった。

こいつらは好き勝手に姿を変えられるんだから見かけに惑わされてはいかん。

「当たり前だろー。俺達、野良鬼一族はみんなお前のダチだぜー。」

なんか単純なやつらだな。

野良鬼って一族だったんか?

定住しない野良の鬼の事かと思ってた。

「あれ、お前それ、なに食ってんだ?」

「ゼリー。ありさが出してくれた。これぷるんぷるんして甘くて面白いなー。」

キアラがスプーンでゼリーをつっついている。

これもプリンと同じで粉をお湯で溶いて冷やすと出来るやつ。
独特の美味しさがある。

あきらが小さい頃、祖母が良く作っていた。

「ありさー。これ楽しみにしてたのにー。」

「大丈夫、たくさん作ったから。」

ありさが開いた冷蔵庫いっぱいにゼリーとプリンが並んでいた。

いいんだけど、晩御飯はどこなんだろう。

「今日は冷やし中華だよ。ウー○ーイー○。」

こいつ本当に式神なんだろうか?


「お前達まだ寝ないのか?」

キアラ姉弟が布団から顔を出してテレビを見ている。

もう午前2時だ。

何故かドーラも同じ様にしている。
ただドーラは眠いのかコックリコックリ頭を揺らしている。

「こんな時間にアニメがやっているなんて、でも、どうしても見たいんだ。」

「明日になったらア○ゾンプラ○○で見れるよ。」

「でも見始めちゃったから、最後まで見たいんだ。」

キガラが言う。

ドーラは急に寝た。

また見られると思って安心したのだろう。

「別にお前ら学校や会社があるわけじゃないんだからいいんじゃないか?俺は寝るけど。」

キアラも眠ったようだ。

何故か3人とも普通に俺の布団で寝ている。

キアラはサキのパジャマを着ているし、キガラは俺の小さい頃のパジャマを着ている。

キガラやドーラはちっちゃいからいいけどキアラはもう立派な女の子なのに問題だろ。

鬼なんだからと自分に言い聞かせるけれどドキドキしてしまう。

おまけに俺の腹の上ではすねこすりが丸くなって寝ている。

解せん。

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