第46話   刹弥鬼(セツヤキ)神社1

文字数 883文字

「封印を解くなんて事は鬼や妖には出来ん。今どこかの封印が弱っているのは人間がやった事じゃとワシは思う。」

ドーラが言う。

「そうだオレ達はたまたま冥界の門に隙間があったから出て来たんだからな。」

「アスラ、禍邪(カジャ)も同じか?あいつは何がしたいんだ?」

「あいつは仲間の居場所を作りたいだけさ、やってる事は俺たちと同じ。案外せこいのさ。」

とりあえずあきらとユキオは刹弥鬼(セツヤキ)神社に行ってみる事にした。

地下街の中央の泉の広場から南西の方向に伸びる「グルメロード」にはレストランやファストフードのお店、カフェや食品店などが並んでいる。

「この通りって歩いているとお腹が減るよね。」

ユキオが言う。

「お前、朝からご飯3杯も食べてただろー。」

「ああ、今時藁に包まれた納豆ってなんだかそそられてなー。」

「ありさがスーパーで見つけて来たやつなー。確かにうまかった。」

「お前達話が納豆がうまいってだけになっとるぞ。」

ああ、そうだ。だけど高校生はとりあえずお腹が空くのだ。

学校では2時間目の休憩でお弁当を食べてしまって、昼には学食で食べて、帰り道にも買い食いをして家でまた晩御飯を食べる。

ユキオがキョロキョロし始めた。
買い食いするつもりだな。
だが今はやめておいたほうがいい。

「兄ちゃん、その子達は妹とか弟なのかい?クレープは同じ種類を14個でいいのかい?」

クレープ屋さんのお姉様がユキオの周りを見て言う。

いつの間にか人化して可視化した小鬼やすねこすり、家鳴り達がユキオを取り囲んでいる。

「え?ええ?」

小妖達は目をうるうるさせてユキオを上目遣いで見ている。

まあ、ここで無視できる様な根性の持ち合わせは普通はない。

「お、おう。みんなに一個づつだ。」

「ワシも。」

「ドーラはあきらに買ってもらえ。」

可哀想にユキオの今月の小遣いは風前の灯だ。

小妖達はきゃあきゃあ言ってユキオの周りを跳び回っている。
人気者だ。

ユキオはあまり嬉しくなさそうだが。

グルメロードを突き当たりまで行き地上に上がると玉長尾商店街のアーケードがあり、私鉄「玉長尾駅」に繋がる。

この駅に隣接して刹弥鬼(セツヤキ)神社がある。
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