第78話  廃部阻止作戦

文字数 876文字

「確かに3人増えたけど、これ大丈夫なん?」

竒牙羅(キガラ)と阿羅(キアラ)そして禍邪(かじゃ)が制服を着ている。

3人の背中に形代をつけて見る者に指向性付きの擬態と認識阻害をかけるようにしている。

普通の人間には高校生が3人見えているけど見える者には3人の小学生がぼーっと立っているように見える。

「一応これで教頭を誤魔化したけれどただの時間稼ぎだからね。なんとか1年生を勧誘しないとってあきら、なんか考えがあるの?」

柳田部長は別として後の3人は訳がわからないだろうからまず霊験の符をプリントして持たせる。

霊験の符を手に持った途端に3人には微弱ではあるけれど普通の人には見えないもの、霊や妖や鬼達が見えるようになる。

「あーっ、なんなのー。えーっ。いろんなものがうじゃうじゃいるー。」

なんか寡黙そうだった前髪で顔の見えない青木さんが騒ぎ立てる。

メガネ美人の井上さんと作家の岡本さんは凍りついたようになって動かない。

それでも少し時間が経つと幽霊達が普通の人間っぽい事っていうか自分達と似た部分がたくさんあって共感しやすい事もあって慣れてきた。

小鬼や小妖についても可愛らしい小動物みたいに見えて来た。

しかもこの子達には生きた人間のような存在の重たさはない。

本来ここの部員達は人付き合いの苦手な隠キャだけど相手が人外となると意外と普通に付き合えるようだ。

岡本さんは何体かの霊と執筆のスタイルなどについて話し込んでいるし、女子達は小妖達にじゃれつかれている。

小妖や小鬼達の好感度がマシマシだ。
お前たちなかなか良いぞ。

「それでどうやって新人の勧誘をするんだい?」

様変わりした部室の様子を見ていた柳田部長が問いかけて来る。

あきらがニヤリと笑みを浮かべる。

「うわー、絶対なんか悪いこと考えているよ。晴明ってこんな時極悪だからな。」

ユキオが言う。

「前にこの手を使ったのは道満だからね。発案者は道満。」

「えーっ、もしかしてあれ、今の時代であれやっちゃうんだ。いひひー。」

「ユキオだって面白がっているんじゃん。」

うわー。すっごい仲良しー。
うふふー。
ユーコが変な笑みを浮かべている。








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