第21話   結界2

文字数 776文字

「 要はー。この神社のどれかの結界が壊れちゃっているって事?」

何故か蘆屋ユキオがそのまま古書店に居着いてあきら達と一緒に話しをしている。

まあ、物怖じしない人懐っこさはユキオの利点なんだけど。

もう狐の耳と尻尾は取ったらどうなんだ。

亮が言う事ではユキオはかなり前からの常連さんらしい。

中国の古い奇談を紹介したものなどお気に入りで買い集めているそうだ。

この中国の古い奇談の紹介は事の真偽は問わないで伝えられている事を翻訳してくれている。

中国語まして古典など読めるわけではないのでこの様なスタンスで紹介してもらえるのは大変嬉しい。

再現出来ない、標準化できない。
だから証明出来ない。
証明出来ないものは科学的ではない。
科学的ではないものは存在しない?

でも起こってしまった現象や見えてしまったものはどうするのだ?


とりあえず一通り回って見て何が出来るのか考えてみるしかないだろう。

「ドーラ、またここにその妖が出てくる事はあるのか?」

「ん?いやもうそこらじゅうにいるよ。」

あきらが先に答える。

「結界が壊れて冥界の門が半開きじゃし、既に出て来たもんが勝手に帰ることはないじゃろう。」

ドーラが続ける。

「今は、前回照明を壊して遊んで少し満足したのじゃろう。じきに退屈して何かを始めるじゃろう。」

「この件と洋二の件は別物みたいだ。」

「俺もそう思う。もし同じならこの地下街でも変死者がでただろうし。」

ユキオが言う。

「そうは言ってもその冥界の門から出て来たのには違いはない。」

「ところでユキオ。その狐はいつまでやってんだ。」

「ドーラもありさもそれっぽいから一緒にいる今がこれつけるチャンスなんだよ。いいだろう、かわいいか?」

おまえがその格好で「かわいいか?」はないだろうが。

まあ美男子ではあるので否定はしないが.....いや、俺にその手の趣味はないぞ。

何言ってんのか良くわからない。


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