第11話    塚田優子

文字数 913文字

「あ、塚田さんが来る。」

とあきらが言うとまもなくチャイムがなる。

ありさが案内してくる。

優子は不思議そうな顔をしてありさを見ている。

そして部屋に入り明良の顔を見るなり涙を流して肩を震わせる。

「何か恐ろしいものが夢に出るのよ。」

「黒いものが渦巻いている中から苦しそうな顔のようなものを歪ませて助けてって言うの。」

「手をつかもうとしても、とどかないでどんどん遠ざかってしまうの。」

「私に何が出来るのか、どうしたらいいのかわからなくて。」

「それでこっくりさんならわかるかもしれないって思って・・・。」

「和泉君が霊能者だってみんなが言ってたけど、私そんなのばかばかしいって信じてなかったの。」

霊能者は信じないけどこっくりさんは信じるのか?

人よりも儀式やシステムを信じるって言うのはわからなくもない。

「でも、今日、和泉君がこっくりさんを鎮めるのをみたわ。」

「それで、和泉君なら何かわかるかもしれないって・・・・。」

そんな優子を見ながらあきらは少し困ったような顔をしながら言う。

「あれは、こっくりさんじゃなかった。もっと別の危ない奴。今はまだそれが何なのかはわからないけれど・・・・。」

ユキオがうれしそうにあきらのシャツの袖を引っ張りながら

「なんで塚田が来るってわかったんだ。」

と聞く。

「鳩がベランダでしゃべってた。」

「ほんとかよー。」

ユキオはあきれたような顔をして言う。

「お前はドリトル先生か?もう少しまともな嘘をついたらどうだ・・・」

「と言いたいところだけど今日のあれを見たところだから信じないわけにいかんのだなあ。」

「わしにもわかるのじゃ。すごいのか?」

ドーラが言う。

「なんでこっちに来たんだ。」

「除け者にするな。鬼差別じゃぞ。混ぜてくれんと寂しいじゃろうが。」

「何この子、有名アニメの有名キャラクターのちっちゃい版みたい。」

優子がドーラを抱き上げる。

「こ、こら人間、気安く触るな。触っていいのは主様だけじゃ。」

「主様って?」

「あきらじゃ。」

「えー和泉君こんな小さな子と?変態?」

「まぎらわしい。こいつは式だよ。」

「ふーん。そっちの子は?」

「これも式神でありさ。」

「はーん。」

「和泉君ってロリコンなんだ。」

「はっ。ちっ、ちがうから。」
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