第29話  姑獲鳥捕獲作戦2

文字数 622文字

「逃げたりしないから、この結界解いてくれないかしら?」

あきらは地面に描いた五芒星の一部を消す。

結界が解除される。

どっちみちアウラレベルの妖を捕らえ続けることはできない。

「冥界の門が半開きで一方通行なのよ。」

「いっそ全開にしたら出て行った鬼や妖は吸い込まれるように戻ると思うわ。」

「帰れないうちはここで食事しないわけにはいかないし。」

アウラは擬魂符があれば当分大丈夫とかでドーラと同じ式鬼になる。

「私、この子の式鬼になるわ。」

とユキオの腕をとる。

ユキオが顔を赤らめて

「えへへー。」

とか言っている。

「この子、あの蘆屋道満の子孫でしょ。」

「陰陽師の素質は充分だし、すでに知識もある。」

「後は自分の能力についての自覚だけ。」

「私がついていれば面白い事になるわ。」

こいつが子供の魂を喰ったのだ。
普通なら許すことなんか出来ない。

だが鬼や妖に善悪もなにもない。

こいつもただ食べるものがあったから食べた。

それだけだ。

元々が人の魂を喰う存在に人がどう思っても仕方がない。

ユキオの力になるのならそれでいいか。

無論、人の、親の、悲しみや無念さなどは報われない。

残念ながら鬼や妖(あやかし)が喰ったなどと説明しても「ふざけるな。」と怒られるだけだろう。

アウラは本来、冥界で亡くなった子供の魂を喰ってアカシックレコードに同化させる働きをしている。

あきらの周囲に現れた妖(あやかし)は冥界でも役割を持たない野良の妖(あやかし)達で、むしろ積極的に現世に出て来たのだという。



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