第77話  超自然現象研究部

文字数 915文字

「良かったー。これでゴロゴロしながら本を読む場所がなくならずに済む。」

メガネをかけたおそらくメガネをはずすと美人と言う設定の2年生の女子が言う。

「僕も同じ、ここは静かに執筆活動ができるからね。」

小柄だがやはり2年生のようだ。

あと3年生の2人がUFOを見に行っているのか。

「で、あんた達もこの先輩達と同じようなもん?」

あきらが部屋中にうじゃうじゃいる霊達に話しかける。

「そうね。ここは居心地がいいからね。でも高校生になって学校の怪談ってのはないでしょう?なわけでここでダラダラ暮らすのが最高なのよ。」

霊の中にもまあまあ話しが出来そうな子はいるみたいだ。

それでも何年か前までは高校生といっても純朴さがあって学校の中で起こる不思議な出来事に大騒ぎする子達がいたものだけれど今となっては遠い思い出になってしまった。

そんな事を話題にするのはこの超自然現象研究部の子達ぐらい。

霊達にも少しは承認欲求みたいなものがあって追い回されるのは嫌だけれど全く顧みられないのは存在を失なっていくようでつらいそうだ。

「あんた達なら私達が見えるんだから最高でしょ。それにそこの子みたいにあなたの家に憑く事も出来そうだし。」

「わ、私、憑いたりなんかしてないわよ。」

恵子さんが頬を赤らめてぷりぷり怒っている。

かっ、かわいい。

ドーラにぎゅーっと頬をつねられた。

な、なんで?

「あきら、変態。」

いや、違うから。

そうこうしているとUFOを見に行っていた3年生が帰ってくる。

「いやー、助かるよー。部員を集められなくて俺たちが廃部にしたなんて先輩にどう言い訳しようかって困ってたんだよ。」

部長を名乗るひょろりと背が高い男前が言う。

「ふーん、それで宇宙人を勧誘に行っていたのね。」

2年生の前髪がやたらと長くて顔が良くわからない女の人が言う。

「いやー、言うねー、あはは。」

部長が温厚な人で良かった。

「それにしてもものすごく部員が増えたね。」

あら?この人も霊が見えるんだ。

「部長、違いますよう。入部したのはこっちの3人。」

「だけどこの人達も3年だから足しにならないでしょう。」

「部長、いい方法があるんだ。この部ならではの方法が。」

ユキオが部長に言う。あきらはただニヤニヤしている。







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