第25話 魂喰い1

文字数 847文字

例年になく暑い日。
これ、近年は毎年のように言っている。

その暑さにも関わらず公園では子供達が遊んでいる。

団地の建物に挟まれた小さな公園。
遊具などは置いていない。

備え付けの遊具による子供の事故がテレビで話題になった時期があり、その頃に全て撤去されてしまった。

安全と思われた砂場なども猫が排泄するだとか、雑菌が繁殖しやすくて衛生的な事を問題視されて無くなった。

周囲を部分的に取り囲む生垣と数本の木が植えられている。

その少ない木でもおそらく沢山のセミが取り付いているのだろう。
やかましいほど鳴いている。

母親達はなけなしの木陰に集まり日傘をさしておしゃべりを楽しんでいる。

子供が1人ママ友達のすぐ横を走って公園を出て行く。

この付近ではあまり見かける事のない子供。

母親達がどこの子かしらとその子供の後ろ姿を見送って振り返ってはじめて異変に気がついた。

公園に居た5人の子供が皆倒れている。

動く様子がない。

心臓マッサージなど必死に救命措置をするが息を吹き返すことはなかった。

救急車が到着し病院につくまでも救急隊員が手を尽くす。

それでも子供達が戻ってくる事はなかった。

病院では熱中症と診断するほかなかった。


「おかしい。年端の行かない子供の魂など無垢すぎて味もないのにわざわざ喰らう意味もないはずじゃ。。」

ドーラはニュースを見ながら言う。

「おまえもおかしくないか?なんで当たり前みたいに俺の膝の上でテレビ見ながらご飯を食べてんだ。」

「だってわしに合う椅子がないじゃろうが。」

「お姉さんモードになればいいんじゃないか?俺はおまえの椅子か?」

「う。」

「だってなのじゃ。」

「あきら、またドーラをいじめてる。あんたに懐いてるんだから可愛がってあげなさいよ。」

サキが言う。

「そうじゃ。姉上の言う通りじゃ。」

「おまえ、姉ちゃんを味方につけたと思って調子に乗るなよ。」

「ドーラを膝の上にのせたままで凄んでもなんか滑稽ね。」

ありさがおかわりのご飯をドーラに渡す。

「あきらツンデレ。」

「なっ、なっ、何が。」

「お主、顔が赤いのじゃ。」
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