第23話 朱慈鬼(シュジキ) 神社2
文字数 1,136文字
おしゃれ通りの北端に着くと突き当たりには大きな鉄の扉があるが機械室か何かの様でその先に行く事は出来ない。
その扉の左右に地上に上がる階段がある。
地上には衣料品の問屋街の通りがあり大きな道路を挟んでビルが建っている。
そのビルの横の通りに入ると唐突に雑木林があってそれに取り囲まれる様に神社がある。
朱慈鬼神社(しゅじきじんじゃ)だ。
おそらく祀られている鬼の力が効いているのだろう。
周辺に邪鬼や妖の気配がない。
「毎日欠かさず神主が祝詞をあげてくれるからね。」
「急に出てくんな。びっくりするじゃろうが。」
ドーラが飛び跳ねてあきらにしがみつく。
「鬼のあんたが一番驚いてどうすんのよ。」
ありさにツッコまれる。
額に一本の角が生えた赤毛のロングヘアのお姉さんだ。
この鬼は豹柄のワンピースを着ている。
「ドーラってば式鬼になっちゃったんだ、笑えるわ。その坊やにそんな力があるのかしら。」
「うるさい!わしの勝手じゃ。」
「開きかけの冥界の門から出ようとして必死だったものね。」
「先に結構な数の邪鬼や妖が出てしまったからのう。知っておったら助けてくれてもよかったじゃろうが。」
「他人の苦労を見ても手出しをしないのが立派な鬼なのよ。」
「あれがここの神主よ。」
竹箒を手に社務所から若い男が出て来る。
拝殿の前を掃き始める。
「あの男に特別力があるわけじゃないの、人間ごときの力で押さえ込まれるような鬼はいないし、作法に則ってあげられる祝詞が私達を鎮め結界を守っているのよ。」
「朱慈(シュジ)は結界の揺らぎの原因に心当たりがないのか。」
しばらくシュジは遠い目をして見せるが、首を横に振る。
「わからない。少なくともここが原因じゃないわ。」
そして何か思いついたように顔を上げて神主を指差す。
「ちょっと待ってね。」
神主がピョコっと背筋を伸ばすと社務所に駆け込んで行った。
少しすると社務所から出て来てこちらに走って来る。
「あーっと、えーっと。僕はここの神主で賀茂吉備緒(かもきびお)。
なんかわからないけど、これ渡しておくよ。」
何かお札のようなものを渡された。
「えーっと、あーっと僕は和泉あきらです。こっちが蘆屋ユキオでー、こっちがありさでー、ドーラでー。」
あきらがドギマギして挨拶している。
少し対人恐怖症の気があるのかも。
「もう向こうに行っちゃったよ。」
ユキオが言う。
あの神主はわけがわからないままシュジに操られたのじゃろう。
シュジが笑っている。
「お主も笑う事があるんか?」
ドーラが驚いている。
「お主が笑ったところなぞついぞ見たこともなかったのじゃ。」
「そうかしら。あきら、このお札が役に立つこともあるかもしれない。いつも身につけておいて。さあ、用は済んだでしょ。帰りなさい。」
なんか盛り上がりのないまま追い返された。
その扉の左右に地上に上がる階段がある。
地上には衣料品の問屋街の通りがあり大きな道路を挟んでビルが建っている。
そのビルの横の通りに入ると唐突に雑木林があってそれに取り囲まれる様に神社がある。
朱慈鬼神社(しゅじきじんじゃ)だ。
おそらく祀られている鬼の力が効いているのだろう。
周辺に邪鬼や妖の気配がない。
「毎日欠かさず神主が祝詞をあげてくれるからね。」
「急に出てくんな。びっくりするじゃろうが。」
ドーラが飛び跳ねてあきらにしがみつく。
「鬼のあんたが一番驚いてどうすんのよ。」
ありさにツッコまれる。
額に一本の角が生えた赤毛のロングヘアのお姉さんだ。
この鬼は豹柄のワンピースを着ている。
「ドーラってば式鬼になっちゃったんだ、笑えるわ。その坊やにそんな力があるのかしら。」
「うるさい!わしの勝手じゃ。」
「開きかけの冥界の門から出ようとして必死だったものね。」
「先に結構な数の邪鬼や妖が出てしまったからのう。知っておったら助けてくれてもよかったじゃろうが。」
「他人の苦労を見ても手出しをしないのが立派な鬼なのよ。」
「あれがここの神主よ。」
竹箒を手に社務所から若い男が出て来る。
拝殿の前を掃き始める。
「あの男に特別力があるわけじゃないの、人間ごときの力で押さえ込まれるような鬼はいないし、作法に則ってあげられる祝詞が私達を鎮め結界を守っているのよ。」
「朱慈(シュジ)は結界の揺らぎの原因に心当たりがないのか。」
しばらくシュジは遠い目をして見せるが、首を横に振る。
「わからない。少なくともここが原因じゃないわ。」
そして何か思いついたように顔を上げて神主を指差す。
「ちょっと待ってね。」
神主がピョコっと背筋を伸ばすと社務所に駆け込んで行った。
少しすると社務所から出て来てこちらに走って来る。
「あーっと、えーっと。僕はここの神主で賀茂吉備緒(かもきびお)。
なんかわからないけど、これ渡しておくよ。」
何かお札のようなものを渡された。
「えーっと、あーっと僕は和泉あきらです。こっちが蘆屋ユキオでー、こっちがありさでー、ドーラでー。」
あきらがドギマギして挨拶している。
少し対人恐怖症の気があるのかも。
「もう向こうに行っちゃったよ。」
ユキオが言う。
あの神主はわけがわからないままシュジに操られたのじゃろう。
シュジが笑っている。
「お主も笑う事があるんか?」
ドーラが驚いている。
「お主が笑ったところなぞついぞ見たこともなかったのじゃ。」
「そうかしら。あきら、このお札が役に立つこともあるかもしれない。いつも身につけておいて。さあ、用は済んだでしょ。帰りなさい。」
なんか盛り上がりのないまま追い返された。