第5話  こっくりさん1

文字数 663文字

ひさしぶりに学校に来て授業を受ける。

教師が何か言っているけれど、意識が別のほうを向いていてまるで頭に入らない。

もうじき試験だと言うのに。

時々まるで母親きどりになる姉のサキが偉そうにお説教する姿が目に浮かぶ。

「おい、和泉。なにボンヤリしてんだ。」

同級生の蘆屋ユキオがあきらの背中を叩く。


ユキオは同級生からは変人扱いされているあきらに普通に話しが出来る事では唯一の友人といっていい。

と言うより強力なオカルトマニアであきらよりもずっと知識が深くて幅広い。

ユキオからするとあきらは彼のコレクションの一つなのかもしれない。

教室の後ろの席で女子がきゃあきゃあいっている。

塚田優子、吉沢真美、滝川紀子の3人がこっくりさんをしているようだ。

こんなに人の多い所で、しかも高校生にもなってする事じゃないだろう。

「こっくりさん、こっくりさん西の窓が空いています。いらしゃいましたら鳥居を示してください。」

3人がふれている10円硬貨が何かに引っ張られるように鳥居の図まで動く。

優子は何かに憑かれたような目つきをして、場を仕切っていく。

真美は優子が紀子をからかうために紀子が好きな男子の名前などをこっくりさんに聞くつもりなんだと思っている。

真美はこっくりさんはインチキだと思っている。

インチキでは無いにしても自己催眠や暗示みたいなもので、霊とは関係無いものだと。

優子もたぶんそう思っているけれど紀子みたいな信じやすいタイプをからかうのに都合がいいから利用しているのだと思う。

紀子が純粋に恐いもの見たさにどきどきするのを見て

「バカみたい。」

と思っている。
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