第26話 魂喰い2

文字数 944文字

「あのほっつき歩いて魂を喰って歩いている奴を探すことは出来るのか?」

蘆屋ユキオが空になったご飯のお碗をありさに差し出しながら言う。

「ユキオおまえもなんで当たり前みたいにうちでご飯を食べてんだ?」

「え?ずっと一緒に居たじゃん。」

「だいたいあれがなんなのかわからん。」

「禍邪(カジャ)とは別物なの?」

「あれは子供の魂は喰わんグルメじゃし。」

「姑獲鳥(うぶめ)ではないか? 」

「鬼やほとんどの妖は幼児の魂は好まんのじゃ。なんにも美味くないからのう。」

「だいたい魂を生で喰らうなどあり得んのじゃ。腹を壊してしまうのじゃ。」

「ドーラも魂を喰うのか?」

ユキオがちょっと引き気味。

「わしは冥界で亡者の魂を喰うのが仕事みたいなもんじゃ。」

「生前の業と欲、恨みでコテコテになった魂を地獄の劫火でこんがり焼いたり煮込んだり、いろいろ味付けのコースがあるんじゃ。」

「そして亡者どもの魂に永劫の苦しみと後悔に満ちたダシがしみたところをパクパク喰うのじゃ。美味いぞ。」

「食われた魂はどうなるの?」

「そりゃ。スカスカのう○こに。」

「じゃなくてー、穢れも業も浄化されてパーソナリティとかもなくなってアカシックレコードに吸収されるのじゃ。」

「それが成仏ってことじゃ。」

「ふーん。鬼って魂浄化のシステムだったの?」

「必ずしもそれが全てではない。鬼にもいろいろおるし。」

「ありさー。デザートのプリンは?」

「居候なのに厚かましいのね。太るわよ。」

そう言いながらも冷蔵庫からプリンを出してくる。

ありさが作るのはインスタントのプリン。

お湯で溶いて冷やすだけ。

あきらの母が作っていたのもこれ。

パッケージに卵不使用って書いてあるから本当のプリンかと言うと違うのかもしれないけど美味しいからいいのだ。

「で、なんで姑獲鳥なの?喰われたのは子供の魂だけじゃないよ。」

ユキオが狐の耳をピコピコ動かせながら言う。

お前、まだそれをつけていたのか。

「普通の鬼や妖は魂についた業を喰うので無垢な子供の魂なぞ喰わん。」

「特に鬼は生魂は腹を壊すので生きている人の魂は好かんのじゃよ。」

「そこをあえて喰うとなると姑獲鳥か河童などの妖なんじゃ。しかもあやつらが喰うのは子供の魂に限らんしのう。」

「今回うろついて居るのは水辺でもないので姑獲鳥が有力じゃな。」






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