第41話  羅烏那鬼(ラウナキ)神社2

文字数 935文字

小さな神社だけれどしっかりとした結界がある事が感じ取れる。

境内では宮司さんが祝詞をあげる声が聞こえる

「やあ、久しぶりだね。」

ジーンズに白のTシャツにスニーカーと言うとてもあっさりとした少女が話しかけてくる。

ただTシャツには書道の先生が書いたような筆文字で「鬼」って書いてある。

かっこいい書体だ。

「1000年ぶりだろうか?」

「そんなに長生きする人間はいないよ。」

あきらが答える。

「君たちならなんとかなったんじゃないのかな?」

多分、晴明と道満のことを言っているんだろうなとはわかる気がする。

「多分、僕達は子孫だと思うよ。」

「そーか。まあ私にとっては同じようなもんだね。」

「あなたは羅烏那鬼(ラウナキ)なの?」

ユキオが聞くと彼女はポロリと涙を落とした。

「あー。ユキオ女の子泣かした。」

アウラが言う。

「えーっ、何もしていないよ。」

「そう、ちょっと懐かしくって。私は羅烏那(ラウナ)あなた達がつけた名前よ。」

あきらはラウナに冥界の扉や結界の事を話した。

今のここの結界の様子では異常は感じられない。

ラウナはこの神社の御神体の奥に設置された封印を見せてくれた。

1000年も経っているのに、真っ白な紙にくっきりと描かれた結界紋は真新しく見えた。

耐経年劣化呪がしっかりと活きている。

これを当時の晴明や道満が構築していたのは驚きだ。

「かなり沢山の資料が散逸してしまったからね。」

そうなんだ、かつての西洋かぶれで科学一辺倒の価値観は、科学的ではない迷信だと言う理由で沢山の知識や知恵を捨ててしまった。

まあ見えないものは仕方がない。

自分でも見えない側の人間だったら信じなかったかもしれない。

極めて少数派の見える人間など、それを証明することもできない胡散臭い奴らなんだ。

ただ不思議なことに霊感がある人がいるって言うのを否定しない人は多い。

普通に呪いだとか祟りを畏れているんだ。

ラウナはこの神社で祀られている。
役割は結界の維持だ。

代々受け継がれてきた作法に基づいて宮司があげる祝詞はラウナ以外の妖や魔のものを避け結界を補強する。

ラウナは宮司を妖や魔のものから守ると共に祝詞を継続してあげるように意識を操作することができる。

確か朱慈(シュジ)も賀茂吉備緒(かもきびお)を操ってお札を作らせていたっけ。





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み