第64話  播磨智徳の依頼1-2 会長室

文字数 996文字

「ああ、よく来てくれた。あきら達には悪いんだけれど、他にたのめる術師がいなくて。」

ここは元は会長室だった部屋。
今は片付いて応接室になっている。

もっとも社員は気持ち悪がって寄り付かないそうだ。

だだっ広い部屋には大きなテーブルとお菓子を入れた大皿が並べてある。

「また、たくさんの小鬼や妖を集めたもんだね。」

あきらは賑やかな部屋の様子に呆れてしまう。

一般の人から見ると部屋には誰の為なのかわからない菓子類やジュースなどの飲み物が並べられた無人の部屋。

突然、ラップ音の一種の様に、お菓子の袋がカサカサと言う音や、パタパタと言う小さな子供が歩き回るような音が聞こえる。

お煎餅が空中に舞い上がり消えて行ったり、ジュースの入ったコップがぱたりと倒れたりするポルターガイスト現象が頻繁に起こる。

と言う具合だ。

そりゃ一般の社員は寄り付かない。


播磨智徳(はりま とものり)社長は苦笑しながら言う。

「これならタマモも寂しくないだろう。僕もこの子らがいる事でなんだか癒されるんだ。」

式神に甘々じゃん。

まあ普通にかわいいし、こいつらなら飼育崩壊なんて事にはならないからいいんじゃないか。

「それでさっそくなんだけれど...。」

播磨智徳(はりま とものり)社長の話しはこんな感じ。

播磨商事は国内外に支店や営業所を持つ商社だけど、東北地方の営業所の従業員3人が3日程前から音信不通になってしまった。

警察に連絡するのだけれど、まだまともに取りあってもらえるような事件性のあるような状況じゃない。

事業が事業だけに一般の社員を行かせるわけにはいかないので、まずは自分で確認に行きたいところだが香港でも同じ様な状況の支店があるので社長はそっちに行かなくはならない。

東方怪奇清掃株式会社に相談したんだけれど今はまだ台湾のキョンシーが片付いていないので手が回らないようだ。

東方怪奇清掃株式会社の誰かが和泉のとこのせがれにやらせたらいいと言ったとか?

東北の地方空港までは専用機を用意するし、現地では郷土料理で有名な観光ホテルを用意するからって美味しい話しも盛りだくさん。

すでにユキオはやる気満々だ。
飛行機というのが良かった。

ユキオは飛行機がオカルトと同じくらい大好きなのだがまだ乗った事がない。

ユキオがあきらの腕を掴んで目をウルウルさせている。

それ、お前がやってもかわいくないからな。

ユーコがそんな2人を見てワクワクしている。

違うからな。










ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み