第75話  学校の怪談  花子さん2

文字数 959文字

「あきら、またこんな小さな女の子を持って帰って来たの?」

サキが呆れている。

「その言い方にはいろいろ語弊があると思うけど。」

「そうね、見た目はこんなだけれど結構長く存在はしているかも。」

部屋の奥から家鳴りやすねこすりなどの小妖や小鬼が出てくる。

少しの間恵子さんと小妖達は睨み合う形になる。

けれど我慢出来なくなった恵子さんが「きゃーっ、かわいいー。」と言ってすねこすりを抱き上げるのを皮切りに部屋のタタキは大混乱になった。

小妖達や小鬼達は遊んでくれるのが嬉しいのか恵子さんに飛びついて手足にしがみついたり、頭を擦り付けて懐いている。

竒牙羅(キガラ)と阿羅(キアラ)そして禍邪(かじゃ)も出てくる。

「あれ、恵子ここにくるの?」

キアラが言う。

「知り合い?」

あきらが聞く。

「学校はいろいろ調べたから知っているわよ。」

キアラが言うには今は少子化の影響もあって学校が廃校になったりするので花子さんもダブついているらしい。

「お前たち、恵子さんを喰うなよ。」

あきらが不信そうに言う。

「し、失礼な、俺たちだって喰っていい相手とそうじゃない相手ぐらい区別するぞ。」

阿羅(キアラ)が頬を赤めて怒る。

ちょっとかわいい。

そんなあきらの様子を見てユーコが「ふーん。」と何やらうなづいている。

たぶん誤解だからね。


元々の食卓に小さなテーブルやちゃぶ台なども動員してみんなで夕食にする。

ありさが大変なようだけれど猫又や小豆洗い、座敷童などの妖怪達が手伝ってくれるので助かる。

そんなに広い部屋じゃないんだけどな?

「空間の拡張をしてあるから大丈夫じゃぞ。」

「ドーラってそんなこともできるの?」

「便利なロボット猫と名前も似ているしね。」

「ユキオ、上手いこと言うね。」

「うるさい、あんな丸っこいのと一緒にするな。」

「恵子さん、学校にはほかにも何かいるの?」

あきらがご飯を食べながら聞く。

「いっぱいいるわよ。学校や病院、工場とか日中は人がたくさんいて夜は静かになるようところが好きよ。」

「静かなところが好きだけど、なにかしら人恋しいのよ。」

「だからきっと浄仏したくないのよ。」

「ドーラ、人が浄仏しないで現世に居続けるっていいのか?」

「浄仏出来なくて苦しんでる訳でもないし霊障を起こしているわけでもないんだからいいじゃろうよ。自由じゃ、決まりなどなにもないのじゃ。」












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