第69話 播磨智徳の依頼1-7  追跡2

文字数 978文字


「さあ、行くわよ。」

昨夜は超有名な料理店でご馳走をいただき、温泉を堪能したので今度は出雲だとばかりにお肌ツヤツヤのユーコはやる気満々だ。

こう言う事ではあきらもユキオも主体性がないので完全にユーコの言いなり。

ドーラもアウラも呆れている。

ドーラはまだしもアウラにとっては野良鬼だった期間が長く冥界も久しぶりなのでやや緊張感がある。

この方術陣が冥界のどこに繋がっているのかもわからないので鬼の自分達はいいとしても人間のあきら達の安全が確保できるかやや不安なところだ。

ありさが自身の体を薄い殻状にしてあきら、ユキオ、ユーコの3人を包み込む。

「ユーコ、何を背負っているんだ?」

ユキオが聞く。

「冥界でお腹が空かないようにお菓子やパンみたいな食べ物。」

「いくら冥界でもレストランぐらいあるぞ。」

ドーラが言う。

本来鬼は魄を食べる以外の食事を必要としないが、あきらの周りにいる鬼達が色んなものを食べるのは好奇心と娯楽のためだ。

当然、冥界では鬼達が生活しているのだから娯楽としての施設もたくさんある。

あきら達は方術陣の中に立つ。

方術陣はあきらやドーラ、アウラの霊力を受けて作動を開始する。

陣を描いた文字や図形が光り始める...とあきら達の姿がパッと消える。

もう少し演出はないんか?


ドップーン。

出現したのは先に来た方術師3人と同じで三途の川の中。

と言う事はここは賽の河原のはずだけど護岸されていて石を積み上げる子供もいない。

というよりライフジャケットを着ていたり浮袋を持った水着の子供達が走っている。

パラソルがたくさん立っていてくつろいでいる鬼達がたくさんいる。

「あら?人間?それにヤーマ様もお久しぶり。」

冥光浴をしていた水着のお姉さんが声をかけてくる。

「ああ禹蘿(ウーラ)久しぶりじゃな。元気じゃったか。」

ドーラの分体がヤーマ。

ヤーマは閻魔の別名。

ドーラはヤーマに仕事を押し付けて現世で遊び歩いていると言う冥界での風評だ。

しかし今はヤーマが亡者1人1人の罪の裁定をするなんてことはない。
その上何千年も地獄で償わせると言う考えはここには本来ない。

毎日大量にやって来る亡者をどう効率的に浄仏させるかが冥界の鬼達の仕事だ。

ドーラは冥界にはいってから既に分体ヤーマとコンタクトをとっていた。

ありさの結界のおかげで川の水に濡れることはなかったのでウーラに連れられてヤーマの執務室に行く。











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