第65話第65話  播磨智徳の依頼1-3 プライベートジェット

文字数 951文字

「ううー。高い。揺れる。 落ちるー。こわー。」

ユキオがシートの両方の袖にしがみついて青い顔をしている。
あんなに飛行機に乗りたがっていたのに。

離陸するまでは窓の外を見てワクワクしていたんだ。

小型のプライベート機が離陸してグングン上昇している途中で急に浮力を失ったかの様に機体がすとーんと降下するとユキオの様子が豹変。

相当びっくりしたんだろういつもの闊達さとは打って変わって大人しくなっちゃった。

飛行機に乗っているとよくある事なんだけど。

これは飛行機が晴天乱気流(エアポケット)にはまって一時的にコントロールが乱れてしまう事。

シートベルトをしていないと天井に頭をぶつけてしまうから注意が必要。

勝手について来たキガラとキアラはきゃあきゃあはしゃいでいる。

「だいたいユキオは平安時代には青龍の背に乗って飛び回っていたんだから高いところは平気のはずだろ?」

「いや、それは前々前世よりもっと前の事だし、青龍は絶対落ちたりしないからね。」

「変な思い込みだな?」

「まあ後1時間ほどで着くから少しの辛抱さ。」

しかし商社の社長ってそんなに儲かるのかな?
超豪華な内装だし客室乗務員が5人ぐらい乗っている。

乗っているのはあきらとユキオの2人に何故かユーコがついて来ている。

式神や式鬼達は見えなくできるし数に入らない。

実際にはありさやドーラ、アウラはもちろん、きゃあきゃあ騒いでいる小鬼や小妖が乗っているんだけれど。

プライベートジェット機の小窓から見下ろすとちょうどリアス式海岸と青黒い海、それと深緑の木々に覆われた山々が海岸近くまで迫っているのが見える。

こういう景色を見るとまだまだ人が住んでいる所なんて狭いもんだなって思う。

あの深緑の木々の中に迷い込んだら出てくることなんてきっと出来ないし探し出すなんて事も至難の技だろう。

「あんな山の中にも鬼や妖がいるんだろうか?」

あきらがつぶやく。

「鬼や妖達は人里のそばにしかおらん。山や海に住まうのは精霊じゃの。」

「精霊は好奇心が勝つか人に望まれて条件が整わぬ限りは近づいて来ないもんじゃ。」

ドーラが説明してくれる。

これから向かうのは東北地方の半島。
山に囲まれていて盆地になっておりこの周辺が霊地と言われている。

空港から車で2時間半程かかる

イタコと言う降霊術者が数人いて大人気らしい。





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