第24話

文字数 451文字

 「さて、どうする?」
 「どうするといっても、戻るしかないだろ」
 森から出てきたナツと黄月は相談を始めた。
 黄月が先ほど出てきたばかりの森を眺める。
 「あのちっこい熊妖怪は、ここから出そうにないな」
 鬼熊は事件が解決するまで理由なく森から出ないことを約束してくれた。
 「ここが棲家なら遠くには逃げない」
 無断で森を出ても今度は多くの妖怪が監視するだろう。
 ナツは黄月に顔を向ける。
 「家に戻って、もう一度、話を聞いてみよう」
 どのみち家に戻るのだ。
 「あの少女が何かを知っていればいいがな」
 「何か見落としがあるにちがいない」
 黄月が何かに気付いてナツを見る。
 「“聞き落とし”だ」
 「?」
 ナツは一瞬わけがわからず動きが止まる。
 「見落としとは言わないぜ?」
 「“聞き落とし”というのも聞いたことが無い」
 黄月の細かな指摘にナツは反論する。
 「じゃあ、なんという?」
 「“情報の見落とし”だ」
 ナツの少し考えて言い返す。
 黄月がすこし呆れて首を振る。

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