第22話

文字数 527文字

 ナツは地面に鎖を長めに置いて、鬼熊が踏むように形成する。
 黄月は鬼熊を挑発して逃げるフリをし始める。
 「もう終わりか? たいしたことねえな」
 挑発に乗った鬼熊が黄月を追いかけようとする。
 黄月が付近を一周して、ナツの置いた鎖のほうに向かってきた。
 鬼熊が突進してくる。
 黄月とナツが突進を避ける。
 通り過ぎた鬼熊は足に鎖が絡まって転倒する。
 ナツは鎖を木の太い枝にひっかけて、テコのように鎖を引っ張った。
 鬼熊が逆さにつるし上げられる。
 「これならパワーがあっても、何もできないだろう」
 ナツは鬼熊が何らかの手段で逃げないか、様子を見る。
 鬼熊が手を振るって逃げようとするが、宙づりなのでもがくだけだ。
 「まったくだぜ。やっぱりたいしたことなかったな」
 黄月が息を整えながら余計なひとことを言う。
 その余計な言葉に答えるように鬼熊が吠える。
 「なんて口のきき方の知らない狐なんだわ」
 吠えた後に人間の言葉で鬼熊が話し始めた。
 驚いたナツは黄月と目を合わせる。
 黄月は悔しそうに舌打ちをする。
 暴言が通じなかったのが悔しかったのだろうか。
 「こうなったら降伏するんだわ」
 逆さづりの鬼熊が降伏を申し出てきた。
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