第42話

文字数 749文字

 迷い狒々はナツによって再封印された。
 今回のことで、森は監視が強化された。
 他の妖怪たちに監視されることになるだろう。
 鬼熊は社に戻った。静かに暮らすつもりだ。
 倉多と佐久間教師も普通の生活に戻った。
 倉多の友人たちも、恐ろしい目に遭ったが、その後、何も起きないので、妖怪のことはしだいに忘れ去られた。
 もはや、森に近寄ろうともしない。
 そして、ナツの仲間たちは相変わらずであった。
 いつものようにナツの家に集まって茶をすすったり、雑談したりしていた。
 「今回のことで生き方の押し付けというのがダメだというのがわかった」
 黄月が唐突に言い出した。
 茶の間にいた仲間たちはみんな不思議な顔をし始める。
 「生き方を変えるつもりかねえ」
 「そうだ。落ち着いた大人として生きるつもりだ」
 白雲の言葉に黄月が胸をそらして答える。
 「黄月がそれを選ぶならば、応援してやるぞ」
 ナツは傍らの化け狐を支持する。
 「黄月が大人になるんならイタズラしても大丈夫だよね?」
 化け狸の文友が静かに黄月の背後に忍び寄る。
 「・・・やっぱり、気が変わった。言うべきことはちゃんと言わねえとな」
 黄月が文友を捕まえて持ち上げて言う。
 「あれれ、人格者として生きるんじゃないの?」
 「お前も大人としてぶっ飛ばされても、広い心で許してくれるよな?」
 「それとこれとは違うって」
 「まあまあ、まずはこの本を読むことから始めてみようねえ」
 二人の間に白雲が割って入った。
 白雲が自分の書いた著作を渡す。
 「そいつで変わることなんてできるわけ?」
 文友が白雲の本に抗議の声を上げる。
 「わかった。読んでみるぜ」
 「えっ、読むの?」
 文友が黄月の態度に驚いた。

 END

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