第29話

文字数 730文字

 しばらく倉多に護衛を付けることに決まった。
 色々と話し合ったが相手についての情報が少なすぎた。本腰を入れたくても正体不明ではどうにもならない。
 護衛を付けることについて倉多は納得してくれた。妖怪としての正体をバラさなかったらうまくいかなかっただろう。
 「誰が護衛をするかだが」
 「は~い、あたしがやる」
 朱音が元気いっぱいに挙手する。
 「同じ女性の方がいいと思うよ」
 白雲が妹の志願を支持した。
 「確かに。朱音にやってもらおうか」
 ナツは信頼を持って決定を下す。
 護衛の件は片付いたので別の問題を解決しなければならない。
 これからの調査についてだ。
 普通ならば他の妖怪や街の人々に聞き込みしていくことになる。それ以外の調査について話し合う。
 「学校で噂が広まっているんなら、学校で聞き込みをしたならいんじゃないかねえ」
 白雲が自分の髭をつまんで伸ばしながら言う。
 「でも、どうやって? オレたちみんなオトナだよ?」
 小さい狸の文友が疑問を言う。
 文友は人間の姿が子供なだけで生きてきた年月は人間の大人と同じだ。
 「森で会った佐久間教師に頼んで、協力をしてもらう」
 腕組をして考えながらナツが言う。
 ナツたちは学校の関係者じゃないので踏み入ることはできない。
 他の方法があるかもしれないが時間をかけてられない。
 「妖怪のことを話すのかよ?」
 文友が抗議の声を上げるが、不満を感じられない。
 先ほど倉多に正体を話したことが影響しているのだろう。
 「やむを得ない」
 ナツは迷ったがすべての事情を話して協力してもらったほうが良いと判断する。
 白雲と文友は周辺を警戒したり、他の妖怪に聞き込みすることになった。

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