第28話

文字数 667文字

 黄月と話しながら家に戻った。
 あの佐久間という教師は何かに感づいているのだろうか?
 鬼熊のことが学校で都市伝説のように噂になっていること。
 なによりも、早いとこ片づけないと別の被害者がでるのでは?
 二人で家まで戻ると朱音が神妙な面持ちで出迎えた。
 「どったの?」
 朱音のそばには確信に満ちた雰囲気の倉多がいる。
 「彼女に妖怪について説明した?」
 「うん、妖怪が存在するって、私たちが妖怪だって説明はしたよ」
 朱音の言葉に倉多がうなずいた。
 怯える様子はない。
 むしろ安心しているようにも見える。
 「それよりも、逃げた奴は捕まえたの?」
 ナツたちは鬼熊の件を皆に伝える。
 ナツが予測したとおり、みんな悩んで納得いかない様子だ。
 「でも、一回だけなんて」
 事件の被害者である倉多が反論する。
 鬼熊も倉多も本当のことを話していると思うのだが。
 「そうだよお、だいたいその熊妖怪が本当のことを言ってるかどうかわからないじゃない」
 朱音が反論して少女の味方をする。
 「ナツたちの話を聞く限りは、ウソはついていないってことだからねえ」
 白雲がのんびりと朱音の反論を否定する。
 「兄きぃ」
 朱音が荒っぽく殴る真似をして兄に抗議する。
 「忘れていることがあるかもしれないってことだよ」
 文句を言う朱音を手で制止しながら白雲が言葉を付け足す。
 「どちらも嘘をついているようには思えないな」
 兄弟喧嘩を無視して黄月が言う。
 「他にも妖怪がいる可能性を考えよう」
 ナツが全員に次の行動を促す。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み